2014年12月18日

資金循環統計(14年7-9月期)~個人金融資産は過去最高の1654兆円、前年比44兆円増だが、ドル建てでは大幅減

経済研究部 シニアエコノミスト   上野 剛志

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■見出し

・個人金融資産(14年9月末): 前期比では9兆円増
・資金流出入の詳細: リスク性資産への流入進む
・部門別資金過不足等: 企業の現預金残高が過去最高を更新

■要旨

2014年9月末の個人金融資産残高は、前年比44兆円(2.7%)増の1654兆円となった。残高は6月末を上回り、過去最高を更新している。年間で資金の純流入が21兆円あったのに加え、円安・株高を受けて時価 が23兆円増加したため残高が押し上げられた。四半期ベースでは、前期(14年4-6月)末比で9兆円の増加となった。例年7-9月期は一般的な賞与支給月を含まないためフローで流出超過となる傾向があり、今回も1兆円の流出超過となったが、円安・株高を受けて時価が10兆円増加した。このように、過去最高を更新している個人金融資産であるが、ドル建てで換算すると、前年比8.2%も減少している。急激な円安によって、現預金などがドル建てで大きく目減りしたためだ。世界基準で見ると、日本の個人金融資産の存在感は縮小している。また、円建てでも、個人金融資産の前年比増加率(2.7%)は、消費者物価上昇率に届かず、実質的な価値は減少しているだけに、手放しで評価できない面もある。

7-9月期の個人金融資産への資金流出入の詳細では、投資信託と株式・出資金への資金流入計が1兆円余りのプラスを維持している。全体からすれば限定的な規模ではあるが、リスク性資産への資金流入は近年を上回る勢いであり、今年から開始したNISAが少なからず影響していると考えられる。

国債の9月末残高は1015兆円と6月末から2兆円増加し、過去最高を更新した。その保有状況を見ると、異次元緩和で国債の大量買入れを継続している中央銀行(日銀)の保有高が18兆円増加しており、全体に占めるシェアも22.9%へと上昇した。

9月末の民間非金融法人の現預金残高は233.1兆円と、6月末から4兆円増加し、過去最高を更新した。前年比でみても、現預金は9兆円増加している。企業収益は堅調さを維持している一方、設備投資等の増加は今のところ限定的に留まっているため、現預金が高い水準で保たれている構図とみられる。

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経済研究部   シニアエコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融、日本経済

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