2014年09月05日

金融市場の動き(9月号)~円安再開、その持続性を考える

経済研究部 シニアエコノミスト   上野 剛志

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  1. (為替) ドル円レートは、8月下旬以降急ピッチな円安ドル高となり、昨年末の水準をほぼ回復している。この間、米サイドでは、堅調な経済指標が続いているという点では従来と変わりがないが、QE3終了までのカウントダウンが残り僅かとなる中で、ジャクソンホールでのイエレン議長講演がそれほどハト派的でなかったことが加わり、米利上げに市場の意識が向かった。米2年債利回りが明確に上昇し、ドル高圧力になっている。また、日本サイドでは、内閣改造によってGPIFへの思惑が高まったことが円安に効いた。つまり、事実としては従来から特段の変化はみられないのだが、先行きへの市場の期待の変化が8月下旬以降に大きく動いたと考えられる。今後の展開としても、基調としての円安ドル高は続くと見ているが、一本調子とはいかないだろう。現状の円安ドル高は投機筋主導の色彩が強いうえ、利上げは米株式市場にとっては逆風になるため、一時的にリスク回避的な円買いが発生する可能性が高い。また、早ければ今月にも発表される見込みのGPIFの運用変更については、円安材料ながらも既に国内株と外国証券の比率引き上げはかなり織り込まれてしまった。ポジティブ・サプライズを起こすハードルは上がっており、予想の範囲内と受け止められた場合は一旦巻き戻しの円買いも有り得る。
  2. (日米欧金融政策) 日銀は8月、9月の金融政策決定会合で現行の政策維持を決定した。増税後の景気は弱含みが目立つ状況だが、日銀の強気のスタンスに変わりはない。
  3. (金融市場の動き) 8月は円安ドル高、ユーロ続落、長期金利はさらに低下した。当面のドル円は緩やかな円安ドル高、ユーロドルは下値を探った後、方向感を欠く展開になると予想。長期金利はボックス圏内の動きを予想する。
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経済研究部   シニアエコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融、日本経済

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