2013年06月04日

毎月勤労統計13年4月-賃金に回復の兆し

押久保 直也

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■見出し

・現金給与総額は3ヶ月ぶりに増加
・雇用環境にも回復の兆し

■introduction

6月4日に厚生労働省から発表された2013年4月の毎月勤労統計によると、4月の現金給与総額は前年比0.3%(3月:前年比▲0.9%)となり、3ヶ月ぶりに増加した。
その内訳を見てみると、所定内給与は前年比0.0%と11ヶ月ぶりに横ばいとなり、所定外給与は前年比0.4%と7ヶ月ぶりに増加したため、きまって支給する給与(所定内給与+所定外給与)は前年比0.0%と11ヶ月ぶりに減少基調から脱した。また、特別給与は前年比9.7%と2ヶ月ぶりに増加している。
4月の結果は、景況感の大幅な改善や鉱工業生産指数の回復を背景に、きまって支給する給与が減少基調から脱したことで、低迷していた賃金に回復の兆しがみられる。今後は、海外経済の持ち直しに伴う鉱工業生産指数の回復、消費者マインドの本格的な改善などを背景に、所定外給与のみならず所定内給与にまで賃金上昇が波及する可能性が高いだろう。更に安倍首相による賃上げ要請を受け、一時金を増額するなどして対応する企業が増えていることから、2013年度夏季のボーナスは増額が見込まれる。

4月の常用雇用者数は前年比0.6%(3月:前年比0.5%)となり、緩やかな増加基調が続いている。その内訳を見てみると、一般労働者は前年比0.4%と11ヶ月ぶりに増加し、パートタイム労働者も前年比1.3%と増加基調が続くなど、雇用環境に回復の兆しがみられる。ただし、ここ10ヶ月続いていた給与水準の高い一般労働者(正規雇用)を減らし、その分を給与水準の低いパートタイム労働者(非正規雇用)で賄おうとする動きが緩和しているようにみえるが、速報から確報になる際に、一般労働者は下方修正し、パートタイム労働者は上方修正する傾向にあるため、基調が変わったと判断するのは早計だろう。
今後は安倍政権による緊急経済対策の効果から、建設業の雇用の更なる増加が見込まれるほか、鉱工業生産が持ち直しに向かうことで、製造業の雇用も少しずつ持ち直しに向かうとみられる。

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押久保 直也 (おしくぼ なおや)

研究・専門分野
日本経済、財政

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