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- 【フィリピンGDP】リスクを孕むなか、驚異の中国超え
1.現状:前年同期比で7.8%の高成長
フィリピンの国家統計調整委員会(NSCB)は5月30日、2013年1-3月期の国内総生産(GDP)を公表した。実質GDP成長率は前年同期比(原系列)で7.8%の増加で、前期(同+7.1%)より加速した。前期比(季節調整済)でも+2.2%(前期:同+1.9%)と伸び率を高めている。
また、1-3月期の海外からの純所得は、前年同期比+3.2%(前期:同+2.7%)とやや加速、国民総所得(GNI)も前年同期比+7.1%(同+6.4%)と伸び率を高めた。
2.今後:リスクは残る
2012年に続き2013年1-3月期もフィリピンの成長率は市場予測(5%台~6%後半)を大幅に上回り、3四半期連続で7%超、1-3月期は中国の成長率も上回った。同時に2012年の成長率も6.6%から6.8%に上方修正され、堅調さを見せつけた。ただし、懸念材料が払拭されたわけでもない。
まず、ペソ高で出稼ぎ労働者からの送金額がペソ建てで減少することや輸出が伸び悩むリスクが残っている。足元ではペソ高の進行には歯止めがかかっているものの、フィリピンは今年に入って格付けが投資適格級に引き上げられるなど資金流入(ペソ高)圧力も強いため、ペソ高の進行が続き、成長率が押し下げられるリスクも大きいだろう。
投資の動向もリスク要因である。輸出が減少するなかで、在庫が積み上がっているため、過剰生産となっている可能性も否定できない。今年1-3月期の投資認可件数は決して多くはなく、先行きの不透明さとなる。昨年は日本企業の進出も多く見られたが、円安やペソ高の進行によって直接投資の流入が鈍る可能性も指摘できる。
今年は中間選挙が行われたこともあって、政府支出が堅調に推移し、成長を下支えしているが、選挙を終え、今後は伸び率が落ち込む可能性がある。足もとでも、個人消費や投資についてはやや鈍化しているため、今後もリスク要因であるペソ高や投資の動向には注意が必要だろう。
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- 【職歴】
2002年 東京工業大学入学(理学部)
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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