2013年05月01日

毎月勤労統計13年3月~賃金の低迷が続く

押久保 直也

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■見出し

・現金給与総額は2ヶ月連続で減少
・雇用環境は厳しさが続く

■introduction

5月1日に厚生労働省から発表された2013年3月の毎月勤労統計によると、3月の現金給与総額は前年比▲0.6%(2月:前年比▲0.8%)となり、2ヶ月連続で減少した。
その内訳を見てみると、所定内給与は前年比▲0.8%と10ヶ月連続で減少し、所定外給与は前年比▲3.7%と6ヶ月連続で減少したため、きまって支給する給与(所定内給与+所定外給与)は前年比▲1.1%と10ヶ月連続で減少している。一方、特別給与は前年比8.2%と3ヶ月連続で増加している。
3月の結果は、きまって支給する給与の減少が続いていることを背景に、賃金の伸び悩みが続いている。しかし今後は、海外経済の持ち直しに伴う輸出の回復を主因として、鉱工業生産は更なる増産が見込まれるため、製造業を中心に所定外労働時間が増加基調で推移していくことで、所定外給与が前年比でも増加基調に転じる可能性が高いだろう。更に安倍首相による賃上げ要請を受け、一時金を増額するなどして対応する企業が増えていることから、2013年度夏期のボーナスは増額が見込まれる。

3月の常用雇用者数は前年比0.3%(2月:前年比0.5%)となり、緩やかな増加基調が続いている。その内訳を見てみると、一般労働者は前年比▲0.3%と減少基調が続いている一方、パートタイム労働者は前年比1.9%と増加基調が続いている。このことから、給与水準の高い一般労働者(正規雇用)を減らし、その分を給与水準の低いパートタイム労働者(非正規雇用)で賄おうとする動きが続いており、企業の正規雇用への慎重な姿勢がうかがえる。常用雇用は緩やかな増加基調を維持しているものの、内容を見ると雇用が本格的に回復している局面にはまだないだろう。
今後は安倍政権による緊急経済対策の効果から、建設業の雇用の更なる増加が見込まれるほか、鉱工業生産が持ち直しに向かうことで、製造業の雇用も少しずつ持ち直しに向かうことだろう。

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押久保 直也 (おしくぼ なおや)

研究・専門分野
日本経済、財政

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