コラム
2013年04月03日

最新世帯推計からみると、住宅需要はまだ増える? ~ 国立社会保障・人口問題研究所の「日本の世帯数の将来推計(全国推計)2013年1月」より~

社会研究部 土地・住宅政策室長   篠原 二三夫

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国立社会保障・人口問題研究所の2006年12月推計によれば、日本の全国人口は2005年の1億2,777万人をピークに減少に転じるとされていた。その後は2015年で1億2,543万人、2020年で1億2,274万人、2025年で1億1,927万人、2030年で1億1,522万人と減り続け、2055年には8,993万人まで人口は落ち込む見通しであった。しかし、その後の2010年の国勢調査によると、全国人口は1億2,806万人に増え、2005年推計とは異なる結果となった。

2010年の全国人口が確定したことを受け、2012年1月に将来人口推計の見直しが新たに行われた。その結果、全国人口は2010年の1億2,806万人から2015年には1億2,660万人に減り、2020年で1億2,410万人、2025年で1億2,066万人、2030年で1億1,662万人、2055年では9,193万人まで減るという推計結果が公表されている。

さらに、同研究所から「日本の世帯数の将来推計(全国推計)2013年1月」が公表された。これを前回の2008年3月推計結果と比べると(図1)、一般総世帯数は、2015年の5,060万世帯ではなく、2019年の5,307万世帯をピークに減少することとなった。加えて、この最新推計では、一般総世帯数が2008年推計より2010年で156万世帯、2020年で261万世帯も増えていることが注目される。


一般総世帯数の将来推計(2008年と2013年推計の違い)


今回の一般総世帯数の推計方法は前回とほぼ同じであるにもかかわらず、結果に大きな違いが生じている。この理由として、世帯推計に使った2012年人口推計では2006年よりも出生の仮定をやや高めに見込んだことに加え、一般世帯総数の実績が2010年推計よりも予想以上に増えたことが大きい。一般世帯総数増加率の実績値は、1980~1985年の5年間で6.0%、85~90年で7.1%、90~95年で7.9%、95~2000年で6.6%、2000~05年で4.9%であった。前回推計の結果によると、2005~10年の伸び率は2.5%になっていたが、実際にはこれが5.7%に高まったことが大きな違いを生んでいる。

単独世帯は、国勢調査による実績値をみると、2005~10年の5年間に233万世帯と大きく増えた。2013年推計では2030年の1,872万世帯をピークに減少に転ずる見通しである(図2)。


単独世帯数の将来推計(2008年と2013年推計の違い)


既に減少に転じていたはずの「核家族世帯」は、「夫婦のみ」や「ひとり親と子」の世帯数増により2005~10年の実績値で88万世帯も増えた。最新推計によると、「核家族世帯」は2019年の3,020万世帯まで漸増する見通しであり、2030年時点の前回推計との差は365万世帯(1)にも達する(図3)。


核家族世帯数の将来推計(2008年と2013年推計の違い)


これまでの長期的な住宅市場の予測は、国立社会保障・人口問題研究所による前回以前の推計結果を基に行われ、新設住宅着工などが今後はかなり落ち込むという見通しをたててきた。しかし、上記のような違いが生じたため、最新推計に基づく新たな見直しが必須となった。長期の構造的な流れは変わらぬものの、世帯数からみた住宅需要は今後しばらくの間は維持されることとなる。

これらの結果は、住宅市場のみならず、その他の民間市場の今後にも影響する。社会保障制度などの政策担当者も今回の人口・世帯推計の見直しに基づき、当面の政策のあり方を見直す必要があろう。


 
 (1)  単独世帯における最新と前回推計との違いは2030年で48.1万世帯程度であるのに対し、同年次における核家族世帯の違いは365万世帯とかなり大きい。ここに新規推計の特徴がうかがわれる。
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社会研究部   土地・住宅政策室長

篠原 二三夫 (しのはら ふみお)

研究・専門分野
土地・住宅政策、都市・地域計画、不動産市場

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