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年金基金は5年に1度、財政再計算に合わせて基本ポートフォリオ(政策アセットミックス:SA)を決定し、現実の資産配分がそこから大きく乖離した場合には、元の資産配分割合に戻すリバランスを実行するのが良いとされてきた。5年よりも短期の市場見通しによって資産配分を変更することは戦術的資産配分(TA)であり、資産配分を変更するための取引コストに見合ったリターンをあげるのは難しいので、避けるべきだとされてきた。
これに疑問が呈されたのが、2008年のリーマン・ショック後の市場の混乱であった。異常事態が発生したのだから、基本ポートフォリオを維持する必要はなく、リバランスを見送るべきだとする年金基金が増えた。
その後市場の変動が沈静化する中、基本ポートフォリオを維持する手法が復活した感がある。確かに超過リターンを狙って週や月単位で配分を変更する戦術的な資産配分(TA)は、容易には成功しない。しかし、オルタナティブはもちろん、先進国の株式や債券、為替などでも割高・割安をある程度判断することは不可能ではない。例えば1 年毎に資産が明らかに割高かどうか検討し、配分を調整することは、受託者責任にも適うより慎重な(プルーデントな)リスク管理といえる。こうした手法にまで、TAというラベルを付け、頭から排除するのは妥当なのだろうか。
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