2012年05月31日

韓国における成年後見制度の導入背景及び制度の概要―日本の先例から学ぶ成年後見制度の施行における課題―

生活研究部 准主任研究員   金 明中

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■見出し

1――はじめに<
2――成年後見制度の導入背景
3――成年後見制度導入に関する民法改正
4――日本の先例から学ぶ成年後見制度施行における課題
5――終わりに

■introduction

2011年2月、韓国の国会では成人年齢の引下げや成年後見制度の導入を骨子とする「民法一部改正法律案」が可決され、2013年7月から成年後見制度が施行されることになった。
韓国では高齢者に対する政府の支援を拡大する目的で日本の介護保険制度の影響を受けた老人長期療養保険制度を2008年7月から実施しているが、成年後見制度の実施は財政や人材確保、そして制度改善の課題が残っていると判断し、先送りされてきた。
しかしながら、高齢者や障がい者の増加とともに、高齢者福祉や障がい者の人権に対する国の責任の重要性について社会的関心が高まり、これ以上制度の導入を先送りすることが難しくなった。また、現在の民法は行為能力および後見制度における保護の範囲を財産的法律行為に限定していることや、「禁治産」や「限定治産」等の否定的用語を使用することにより、利用者本人や家族の意思や名誉が尊重されていないという点が問題点として指摘されてきた。
韓国で成年後見制度が施行されるまでに約1年という期間が残っている。韓国政府は制度の円滑な施行のためにマニュアルの作成や後見人の養成などを準備しているが、まだ解決すべき問題点は山積している。韓国政府は日本を含めてフランス、イギリス、ドイツなどすでに成年後見制度を施行している諸外国の制度を研究しながら成年後見制度の骨格を作ってきたが、その中でも韓国の制度形成に最も影響を与えたのは日本の制度である。その理由は最近導入された老人長期療養保険やそれ以外の社会保障制度が日本の制度を研究して作られたからである。従って、今後も韓国政府や政策立案者は日本の成年後見制度の動向に注目しながら、韓国の制度を築き上げていくことだろう。
本稿ではまず、2013年7月から施行される予定の韓国の成年後見制度の導入背景や制度の内容、特徴などを説明してから、韓国より約13年も早く導入された日本の先例を参考に成年後見制度の施行における課題について論ずる。

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生活研究部   准主任研究員

金 明中 (きむ みょんじゅん)

研究・専門分野
社会保障論、労働経済学、日・韓社会保障政策比較分析

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