コラム
2012年01月25日

日本はハムレット型、韓国はドン・キホーテ型、今後はハム・キホーテ型で対応せよ!

生活研究部 准主任研究員   金 明中

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リーマンショック以後、日本では韓国経済や韓国企業への関心度が一層高まった。その理由としては韓国経済がリーマンショック以後の世界同時不況をいち早く抜け出し、サムスンを代表とする韓国企業の躍進が目立ったからである。

韓国経済が経済危機をより早く乗り越えた要因としては「大統領制に基づく強いリーダーシップ」、「設備や技術革新に対する大胆な投資」、「インドや中国など新興国に対する長期間にわたる投資や現地ニーズへの的確な対応」、「ウォン安の持続」等が挙げられているが、筆者が注目したいのは、日本企業の課題としてしばしば指摘される「企業のスピード経営」である。

企業経営におけるスピードの速さを古典に例えると、日本は「ハムレット型」、韓国は「ドン・キホーテ型」に似ているのではないかと思う。

ハムレットは、叔父によって父親が殺されたことを知り、狂気を装い復讐を誓う。しかし、復讐を躊躇し先送りしたせいで、自分を含め、母であるガートルードや恋人だったオフィーリアも死を迎えるという悲劇的な結末になる。考えすぎて行動を遅らせた結果である。

一方、騎士道小説を読みすぎたせいで妄想に陥ったドン・キホーテは、世の中の不正を正すために旅に出る。風車を巨人だと思い込んで戦ったり、羊の群れを敵と勘違いして蹴散らすなど失敗を繰り返す。後先考えずに行動した結果である。

戦後、日本の経済成長の背景には、日本人固有の誠実さや忍耐力に基づく緻密な計画、そして長期間にわたる研究や議論があったと考えられる。しかしながら、最近グローバル化の進展とともに国際競争が激しくなってからは、「緻密な計画や議論等がむしろ決断の遅さにつながり、企業競争力を弱めた」と指摘され、決断の早さが頻繁に要求されている。

一方、韓国企業はドン・キホーテのように、失敗を恐れず前にどんどん進める経営方式をとってきた。サムスン電子やLG電子、そして現代自動車など韓国を代表とする大手企業の成功事例が後を絶たず、まるで韓国のすべての企業が勝ち組のように紹介された。しかしその裏側にはドン・キホーテのような経営方式の展開で失敗を味わった企業(例えば1995年に既に飽和状態だと言われていた韓国の自動車市場に進出し、失敗した旧サムスン自動車)等もたくさんあり、より慎重な行動が求められている。

すなわち、慎重なハムレット型も猛進するドン・キホーテ型もそれぞれ長所・短所はある。従って、今後はある程度考えたら、素早く行動に移す日韓混合型とも言える「ハム・キホーテ型」で対応するのはどうだろうか。

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生活研究部   准主任研究員

金 明中 (きむ みょんじゅん)

研究・専門分野
社会保障論、労働経済学、日・韓社会保障政策比較分析

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