コラム
2012年01月05日

理想の上司は、優しくて穏やかな「羊タイプ」

保険研究部 准主任研究員   片山 ゆき

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企業のアジア進出が進む中で、外国人枠として、日本留学組、中国現地での採用組を含め、中国人の新卒採用を実施又は予定する企業が増えてきているという。今後、彼らの同僚・先輩・上司として社内で席を並べる機会が増えるかもしれない。

2012年は1990年生まれの大学新卒者が初めて社会に出る年でもある。彼らは中国でいう90后(ジウリンホウ)だ1
   90后は一人っ子政策の導入後に生をうけ、中国が高度経済成長する中で、家族中の期待と愛情を一身に受けて育った。(ある程度制限はあるものの)インターネットを駆使し、瞬時に海外の情報を手に入れられる彼らは、価値観や考え方がそれまでの世代とは大きく異なる。よく耳にするのが自己の判断基準や、「個」(自分自身)を重視するといった傾向が強い、ということだ。

中国の就職・転職支援サイトが実施した「働き方」についてのアンケート調査2によると、90后の「働く目的」では「自分の夢・理想の実現」(22.2%)が「生活レベルの向上」(22.5%)に肩を並べている。80后(80年~84年生まれ)では「自分の夢・理想の実現」(12.1%)は「生活レベルの向上」(35.0%)の約3分の1しかないのと比べると、世代によって働く意識が大きく異なることが分かる。

次に、90后が「仕事を選択する上で重視する内容」で最も多かったのは「順調な昇進・発展空間」(31.3%)である。発展空間とは自身のキャリアアップを示すが、彼らは入社に際して、将来目指す地位等、明確なキャリアデザインを持っている場合が多い。さらに注目すべきは「その仕事が好きか」(29.3%)がほぼ肩を並べていることであり、その割合は80后のほぼ倍である。一方で、「高給・高待遇」は80后、85后ほど求めない傾向にある。親の手厚い経済支援があることからも、企業や上司は90后に対して、まず明確なキャリアパスを提示する必要があるし、たとえ苦労して育成したとしても「彼らがその仕事を好きにならなければ即転職」といったリスクに備える必要もある。

そんな中国の90后が望む理想の上司像のトップが、優しくて穏やかな「羊タイプ」である(上述のアンケート調査で80后・85后のトップは英知・博学の「イルカタイプ」)。日本の新卒者を対象とした調査「新入社員の理想の上司」(産業能率大学)3 における選択理由(複数回答)でも、やる気を引き出してくれそう(40.7%)、適切なアドバイスをしてくれそう(40.4%)が1位、2位を占め、態度や姿勢が手本になりそう(34.7%)、リーダーシップがありそう(31.4%)などを上回っている。リーダーシップや手本となる主導型の上司というよりは友好的で援助的な上司を求めているといった点においても、日本と中国の90后が求める上司像はどこか似てきている気がする。

もちろん、働き方には個人差もあるし、上司や先輩像も紋切り型ではない。ただ、もし、あなたの会社に中国人新卒者が入ってきたら、気軽に話しかけてみてはどうであろうか。働き方はそれぞれでも、同じステージで共に働く者として、より多くの刺激を得られるかもしれない。

働く目的/仕事を選択する上で重視する内容/理想の上司像


 
中国では一般に1980年代生まれの者を80后、1990年代生まれの者を90后と呼ぶ。
「智聯招聘」(2011年3月発表)、有効サンプル数:1980年以降生まれの被雇用者7,621名。
このアンケートの分析では80后を二分し、1980年~1984年生まれを80后、1985年~1989年生まれを85后と分類している。
http://www.sanno.ac.jp/research/jousi2011.html
理想の男性上司、女性上司の具体名を挙げさせ、その人を選択した理由を聞いている。

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保険研究部   准主任研究員

片山 ゆき (かたやま ゆき)

研究・専門分野
中国の保険・年金・社会保障制度

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