2011年01月28日

雇用関連統計10年12月~失業率は10ヵ月ぶりに5%を下回る

経済研究部 経済調査室長   斎藤 太郎

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■見出し

・失業率は前月から0.2ポイント改善の4.9%
・有効求人倍率は前月と変わらず

■introduction

総務省が1月28日に公表した労働力調査によると、10年12月の完全失業率は前月から0.2ポイント低下し4.9%となった(共同通信集計・事前予想:5.1%、当社予想も5.1%)。
雇用者数が前年比0.2%(11月:同0.3%)と4ヵ月連続し、自営業主・家族従業者の減少幅が縮小したため、就業者数は前年比0.1%(11月:同▲0.1%)と2ヵ月ぶりに増加した。失業者数は298万人(前年比19万人の減少)となり、7ヵ月連続で前年の水準を下回った。
失業者の内訳を求職理由別に見ると、非自発的な離職による者が前年に比べ23万人の減少(うち勤め先都合が23万人減)となる一方、自己都合による者が3万人の増加となっている。雇用情勢は依然として厳しいが、失業の中身を見ると深刻度は若干緩和されていることがうかがえる。
雇用者数の内訳を産業別に見ると、製造業の雇用者数は前年に比べ▲29万人減となり12月の▲12万人減から減少幅が拡大した。鉱工業生産はここにきて持ち直しつつあるが、夏場以降の低迷の影響がここにきて顕在化しているものと考えられる。また、公共工事削減の影響などから建設業が前年に比べ▲21万人減と11ヵ月連続で減少した。一方、卸売・小売業(24万人増)、教育、学習支援業(16万人増)などは比較的堅調な動きとなっている。
(失業率高止まりには雇用対策の効果剥落の影響も)
失業率は10ヵ月ぶりに5%を下回ったが、均してみれば5%前後の高水準で一進一退の動きが続いている。このように、景気が回復局面入りしてから1年半以上が経過しているにもかかわらず、失業率が高止まりしている背景としては、雇用対策の効果が剥落してきたことが考えられる。
雇用対策の一環として導入された雇用調整助成金の支給要件緩和により急増した同制度の申請数は、ピーク時の09年4月には253万人となったが、10年12月には99.7人と100万人を割り込む水準にまで減少した。このこと自体は09年春以降の景気回復を反映した明るい動きとも捉えられるが、生産、売上などの持ち直しにより雇用調整助成金の申請に必要な要件を満たさない企業が増えたことで、それまで企業内にとどまっていた潜在的な失業者の一部が顕在化していることも考えられる。同制度の利用によって企業が余剰人員を抱えているため、景気が回復しても新規採用に踏み切りにくくなっているといったこともあるだろう。
雇用調整助成金の拡充によって、リーマン・ショック以降の失業率の急上昇を抑制してきたことは確かだが、その副作用として対策の効果剥落が雇用の本格回復を妨げる一因になっている可能性がある。

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経済研究部   経済調査室長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

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