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人口の都心回帰が言われて久しいが、大学においても都心回帰が進んでいる。文部科学省が公表した「学校基本調査」によると、2009年度の東京都の学部学生数(大学院生を除く)は62万7,259人となり、前年度から1.9%増加した。特に東京23区で前年度比2.8%と増加が顕著となっており、東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の合計)の同1.0%、全国の同0.3%を大きく上回っている。
1990年度以降の東京23区の学部学生数の増減率の推移について確認すると、1990年度から2004年度にかけては全国や東京圏の伸び率を下回って推移していたが、2005年度以降についてはそれまでの流れに変化が見られる。東京23区の学部学生数は急速に増加しており、全国の伸び率を上回っている。東京23区の学生数の全国に占める割合について確認すると、1990年度の19.7%から低下基調が続いていたが、2004年度の15.2%を底に上昇に転じ、2009年度では16.4%となった。
学生の都心回帰が進む要因として、キャンパスの都心への移転などが挙げられる。1980年代から90年代にかけては、学生数の増加などを受けて、都心から郊外へ進出する動きが一部の大学で見られた。しかし、近年では18歳以下人口の減少と大学数の増加により大学全入時代を迎える中、大学間において学生確保の競争が熾烈化している。都心へキャンパスを移転することにより、学生が確保し易くなることに加えて、キャンパスの集約に伴うコスト削減効果も享受できる。人口の過度の集中を防止する目的として、工場及び大学等の新設及び増設を制限していた工場等制限法が2002年に撤廃されたことも都心へのキャンパス移転に追い風となっている。一方、学生側から見ても、都心にキャンパスがあった方が交通の便が良く、就職活動などの面で有利に働くというメリットがある。今後も学生確保、就職活動という大学、学生双方の利にかなうことから大学の都心回帰は続くものと思われる。
桑畠 滋
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