2010年07月09日

雇用は増えているのか、減っているのか?

経済研究部 経済調査室長   斎藤 太郎

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  1. 持ち直しつつあった雇用情勢だが、ここにきて変調の兆しも見られる。失業率は2009年7月に過去最悪の5.6%を記録した後、2010年1、2月には4.9%まで低下したが、3月以降再び上昇し、5月には5.2%となった。
  2. 「労働力調査」の雇用者数は2010年3月に1年1ヵ月ぶりに前年比で増加したが、4、5月は再び減少に転じている。一方、「毎月勤労統計」の常用労働者数は2010年2月以降、前年比で増加を続けており、両者の動きは乖離している。
  3. 労働力調査は雇用者の対象範囲が広いため、労働市場全体の動向を把握するのに適した統計だが、月々の振れが大きいという問題がある。一方、毎月勤労統計は安定的な動きをする一方、トレンドの変化を迅速に捉えられない場合があり、両統計には一長一短がある。
  4. 毎月勤労統計に含まれない中小企業(事業所規模4人以下)の雇用が大幅に減少していることが、労働力調査が毎月勤労統計よりも弱めの動きとなっている一因と考えられる。ただし、これだけでは両統計の乖離を全て説明することはできず、現時点では基調として雇用が増えているのか、減っているのかを判断することは難しいと言わざるをえない。
  5. 過去の動きを見ると、労働力調査と毎月勤労統計が一方向に乖離し続けることはない。今後、雇用の伸びがどちらの統計の動きに収束していくかが注目される。
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経済研究部   経済調査室長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

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