2010年02月12日

ギリシャ財政危機の波紋

経済研究部 上席研究員   伊藤 さゆり

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  1. EU首脳は、11日に開催した臨時会合で、財政を巡る緊張が続くギリシャの財政目標達成を全面的に支援し、必要な場合にはユーロ圏全体の金融安定を維持するための断固とした協調的行動をとる方針などを確認した。
  2. ギリシャ危機の余波を最も受けているポルトガルの問題は、統合の枠組みの中での成長戦略の不明瞭さにある。住宅バブルが崩壊したスペインも新たな成長の構図が描けない点は同じである。南欧の労働市場が硬直的であるため、雇用・賃金の調整を通じてユーロ圏の中で競争力を高めて、経済の安定化を図ることができるのか不透明だ。
  3. イギリスの問題は、「為替相場の固定と労働市場の硬直性」に悩む南欧とは異なるが、純政府債務残高は過去最高水準に膨れ上がっており、総選挙を控えた不透明感から市場の不安が高じる可能性がある点に留意が必要だろう。
  4. ユーロ未導入の中東欧には国際収支危機に対するEU・IMFなどからの支援という枠組みが確認されていることもあり、ギリシャ危機の波及は抑えられているが、今後のユーロ導入プロセスでは、財政条件をより厳格に運用するといった余波は及びそうだ。
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経済研究部   上席研究員

伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州経済

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