2009年11月27日

雇用統計09年10月~非労働力化の進展で失業率が低下

経済研究部 経済調査室長   斎藤 太郎

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■見出し

・失業率は3ヵ月連続で改善
・労働需給の悪化には歯止め

■introduction

総務省が11月27日に公表した労働力調査によると、10月の完全失業率は前月から0.2ポイント低下し5.1%となった(ロイター集計事前予想:5.4%、当社予想は5.5%)。失業率は7月には5.7%と過去最悪を記録したが、その後の3ヵ月で0.6ポイントの大幅改善となった。
ただし、今月の失業率低下は、非労働力化の進展により失業者の増加が抑えられたことが大きい。失業者数(季節調整値)は336万人と前月よりも16万人減少したが、雇用者数(季節調整値)は12万人減少(就業者数は20万人減)しており、雇用の増加が失業者の減少につながったわけではないことが読み取れる。非労働力人口(季節調整値)が前月よりも40万人の大幅増加となったことは、求職活動を諦め労働市場から退出した人が増えたことを示唆している。仕事をしていない人が求職活動をしていなければ失業者にはカウントされないため、失業率は下がりやすくなるが、こうした動きを前向きに捉えることはできないだろう。
また、雇用調整助成金の支給要件が緩和されたことにより、失業率の上昇が抑えられている面があることにも留意が必要だ。雇用調整助成金の申請件数は支給要件の緩和に伴い2009年に入ってから急増し、支給対象者数は足もとでは200万人台の高水準で推移している。 しかし、今後支給期限切れを迎える企業が増えることに加え、新たな申請が難しい状況となりつつある。雇用調整助成金は、生産量または売上高が過去3ヵ月又は前年同期に比べ5%以上減少していることが支給要件となるが、景気持ち直しに伴いこの条件を満たさない企業が増えることが予想されるためである(ただし、政府は支給要件のさらなる緩和を検討中)。
生産量や売上高が方向として上向きになったとしても水準がもとに戻らなければ、企業の余剰人員は解消されない状態が続くことになる。政策効果の剥落に伴い、これまで企業内にとどまっていた潜在的な失業者が一気に顕在化する恐れがある。
雇用者数の内訳を産業別に見ると、製造業の雇用者数は前年に比べ▲74万人減少となり、9月の同▲73万人減とほぼ変わらなかった。派遣社員が含まれる職業紹介・労働者派遣業の雇用者数は前年に比べ▲25万人減と12ヵ月連続の減少となり、9月の▲16万人減から減少幅が拡大した従業員規模別には、3ヵ月連続で全ての規模で前年よりも雇用者数が減少した。

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経済研究部   経済調査室長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

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