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コラム
2008年03月17日
しかし、地域間所得格差の変動を戦後50年間という時間的視野で捉えると、格差拡大という認識は大きく揺らぐことになる。それどころか、1990年代末までの「就業者1人当たり県内総生産」については、一時的には格差が拡大する時期を伴いながらも、長期的には地域間格差が縮小してきたと言える。これまでも格差拡大が5年程度続くことはあったが、当該期間における拡大幅よりも、格差縮小期の縮小幅の方が大きかったからである。
通常、地方圏の「就業者1人当たり県内総生産」が大都市圏よりも低いのは、1人当たりの機械・設備の水準や質が低かったり、生産技術・生産様式に効率的でない部分があったりするからである。言い換えると、機械・設備の増強、高い技術や効率的な生産様式の移入・模倣によって、格差を縮小させることができるし、実際にそのような取り組みが行われてきたのである。
他方、新たな需要の発掘や新しい産業の台頭などの面で先行するのが大都市圏という構図も依然続いている。当然ながら、地方圏が遅れをとった時期には、地域間格差は拡大する。それでも、長期的には格差が縮小してきたのは、その後は地方圏が遅れを取り戻してきたからにほかならない。
もちろん、2000年代入り後に続いてきた格差拡大傾向が、これまでと同様に反転して、長期の縮小トレンドへと回帰することが保証されているわけではない。それだからこそ、地域間格差の行方について、常に正しい事実を知ろうとする姿勢が必要であろう。
例えば、都道府県別の所得水準を知ることのできる統計としては、「県民経済計算」統計のほかに、「毎月勤労統計調査(地方調査)」がある。速報性に優れたこの統計においても、1年間の現金給与総額に関する地域間格差は2006年まで4年連続で拡大している。ただし、2007年に関しては、すでに10月までの実績値が公表されており、10カ月間のデータに基づいて計算すると、地域間格差は僅かながらも縮小している。
「県民経済計算」ベースの2007年度実績値が判明するのは2年先であり、格差拡大に歯止めがかかったのかどうか、現時点で判断するのは時期尚早かもしれない。しかし、こうした足元での変化の可能性と、過去の長期的なトレンドとを併せて考えれば、定説化しつつある「地域間格差拡大」が今後も続いていく揺るぎない真実とは言えないことだけは確かである。
通常、地方圏の「就業者1人当たり県内総生産」が大都市圏よりも低いのは、1人当たりの機械・設備の水準や質が低かったり、生産技術・生産様式に効率的でない部分があったりするからである。言い換えると、機械・設備の増強、高い技術や効率的な生産様式の移入・模倣によって、格差を縮小させることができるし、実際にそのような取り組みが行われてきたのである。
他方、新たな需要の発掘や新しい産業の台頭などの面で先行するのが大都市圏という構図も依然続いている。当然ながら、地方圏が遅れをとった時期には、地域間格差は拡大する。それでも、長期的には格差が縮小してきたのは、その後は地方圏が遅れを取り戻してきたからにほかならない。
もちろん、2000年代入り後に続いてきた格差拡大傾向が、これまでと同様に反転して、長期の縮小トレンドへと回帰することが保証されているわけではない。それだからこそ、地域間格差の行方について、常に正しい事実を知ろうとする姿勢が必要であろう。
例えば、都道府県別の所得水準を知ることのできる統計としては、「県民経済計算」統計のほかに、「毎月勤労統計調査(地方調査)」がある。速報性に優れたこの統計においても、1年間の現金給与総額に関する地域間格差は2006年まで4年連続で拡大している。ただし、2007年に関しては、すでに10月までの実績値が公表されており、10カ月間のデータに基づいて計算すると、地域間格差は僅かながらも縮小している。
「県民経済計算」ベースの2007年度実績値が判明するのは2年先であり、格差拡大に歯止めがかかったのかどうか、現時点で判断するのは時期尚早かもしれない。しかし、こうした足元での変化の可能性と、過去の長期的なトレンドとを併せて考えれば、定説化しつつある「地域間格差拡大」が今後も続いていく揺るぎない真実とは言えないことだけは確かである。
石川 達哉
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