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法人実効税率の引き下げ財源を捻出するために、複数の税制優遇措置が圧縮される中で、退職給与引当金の繰入限度額の引き下げが、政府・自民党の来年度税制改正要綱に盛り込まれた。法人税法上、自己都合退職要支給額の40%である現在の繰入限度額を、20%に下げる内容である。
過去2回、繰入限度基準を引き下げ(100%→50%→40%)た時には、(1)退職までの予想勤務年数の長期化(9年→12年)や、(2)高い割引率(8%)が、その根拠になったのである。しかし、金利水準が低位に推移する中での今回の引き下げについて、合理的な説明は困難と思われる。
わが国企業会計の商法、証券取引法、税法のトライアングル体制は、綻びを見せ始めている。退職金につき、従来、税法基準による債務を、企業会計上も適正と認めてきたが、国際会計基準では、退職金と企業年金を同じ基準で債務評価するように求めている。したがって、今回の税制改正は、ビッグバン後の会計のあり方にも、大きな影響を与えるであろう。
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