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皆さんは今、資産評価が「時価主義になると大変だ」と思われているだろう。
しかし、既に運用評価を始め、支払保証事業の積立水準検証などに、時価評価要素が取り入れられている。にも拘わらず、年金経理で評価損益を認識しながら財政運営を行うようになれば、繰上げ再計算が頻繁になるなどの影響が予想される。
簿価主義の弊害は、「壊れた高度計に頼って飛行機を操縦するようなもの」で、ともすれば年金財政の真実の姿を覆い隠す点にあった。しかし実は、時価主義を導入しようが、しまいが、内在的に発生しているリスクに変わりないはずである。
つまり、時価主義の導入は、従来の考え方からの決別を促す。含み損益のバッファーがなくなることで、(多少の激変緩和措置がとられても)毎年の決算が大きく振れ、財政の健全化とリスク管理に、より敏感にならざるを得ないのである。
(1996年07月01日「ニッセイ年金ストラテジー」)
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