2025年04月09日

「計画修繕」は、安定的な入居確保に必須の経営手法~民間賃貸住宅における計画修繕の普及に向けて~

社会研究部 都市政策調査室長・ジェロントロジー推進室兼任 塩澤 誠一郎

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■要旨

国土交通省住宅局の補助事業でニッセイ基礎研究所が制作した、「民間賃貸住宅管理業者向け計画修繕ガイドブック」は、民間賃貸住宅管理業者が利用することを想定し、計画修繕の方法や手順を示したものである。

筆者は20年近く賃貸住宅の計画修繕を研究テーマとしてきた中で、賃貸住宅経営にとって計画修繕は安定的に入居を得るために必須の経営手法であることを機会ある毎に主張してきたが、このガイドブックも、その考え方を下敷きに制作したつもりである。

本稿でも、そうした観点から、単にその内容を紹介するのではなく、ガイドブックの特に意義深い点を掘り下げて提示することにした。

始めに、ガイドブックを制作した背景に政策的課題や賃貸住宅経営上の課題があることを指摘する。次に、計画修繕を実施する賃貸住宅管理業者へのヒアリングから得られた、計画修繕の普及に有益な取組を紹介する。その上で、ガイドブックの内容について特に意義深い点を取り上げて解説する。最後に、ガイドブックの制作を通じて感じた、今後、計画修繕を普及させるための課題を具体的に指摘する。

■目次

はじめに
1――ガイドブック制作の背景
  1|民間賃貸住宅の老朽化の状況
  2|修繕に関するオーナーの意識
  3|計画修繕に関して賃貸住宅管理業者の取組状況
  4|賃貸住宅管理業法における賃貸住宅管理業務
  5|維持管理の状態を重視する消費者
  6|計画修繕が行われていないのは賃貸住宅経営上の課題
2――計画修繕の取組状況
  1|計画修繕の実施方法
  2|長期修繕計画の作成
  3|オーナーに修繕の実施を促す方法
  4|オーナーに修繕資金の確保を促す方法
  5|計画修繕を普及させるために必要なこと
3――民間賃貸住宅における計画修繕のあり方とガイドブックの意義
  1|計画修繕の定義と意義
  2|長期修繕計画の役割
  3|修繕資金確保の方法とその提案
4――今後の課題
  1|オーナーと管理業者のパートナーシップによる計画修繕
  2|維持保全における計画修繕をスタンダードな取組みに
  3|長期修繕計画における修繕費の目安

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年04月09日「基礎研レポート」)

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社会研究部   都市政策調査室長・ジェロントロジー推進室兼任

塩澤 誠一郎 (しおざわ せいいちろう)

研究・専門分野
都市・地域計画、土地・住宅政策、文化施設開発

経歴
  • 【職歴】
     1994年 (株)住宅・都市問題研究所入社
     2004年 ニッセイ基礎研究所
     2020年より現職
     ・技術士(建設部門、都市及び地方計画)

    【加入団体等】
     ・我孫子市都市計画審議会委員
     ・日本建築学会
     ・日本都市計画学会

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レポート紹介

【「計画修繕」は、安定的な入居確保に必須の経営手法~民間賃貸住宅における計画修繕の普及に向けて~】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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