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2025年03月18日
EUがIRRD(保険再建・破綻処理指令)を最終化-業界団体は負担の軽減とルールの明確化等を要求-
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1―はじめに
EU(欧州連合)における保険会社1に関する再建・破綻処理制度を巡る動きについては、2024年11月に、IRRD(Insurance Recovery and Resolution Directive:保険再建・破綻処理指令)が最終化され、2025年1月8日にはEU官報(Official Journal of the European Union)に掲載2され、2025年1月28日に発効している。加盟国は、2027年1月29日までにIRRDを国内法で実施する必要があり、IRRDは、2027年1月30日から適用されることとなる。
これに伴い、今後は欧州委員会やEIOPA(欧州保険年金監督局)によって、「レベル2以下」の技術基準やガイドラインの作成が行われていくことになる。これに対して、欧州の保険業界団体であるInsurance Europeからは、負担の軽減とルールの明確化等を求める見解が公表されている。
今回のレポートでは、このIRRDの概要及びこれに対するInsurance Europeの見解を紹介することにする。
1 本稿においては、基本的には「保険会社」との記述において「再保険会社」も含まれるが、必ずしもその点を明示していない。一部の記述において、再保険会社が含まれることを強調したい場合に「(再)保険会社」、法令の文言を準用している場合には「保険会社又は再保険会社」と記述している。
2 https://eur-lex.europa.eu/eli/dir/2025/1/oj/eng
これに伴い、今後は欧州委員会やEIOPA(欧州保険年金監督局)によって、「レベル2以下」の技術基準やガイドラインの作成が行われていくことになる。これに対して、欧州の保険業界団体であるInsurance Europeからは、負担の軽減とルールの明確化等を求める見解が公表されている。
今回のレポートでは、このIRRDの概要及びこれに対するInsurance Europeの見解を紹介することにする。
1 本稿においては、基本的には「保険会社」との記述において「再保険会社」も含まれるが、必ずしもその点を明示していない。一部の記述において、再保険会社が含まれることを強調したい場合に「(再)保険会社」、法令の文言を準用している場合には「保険会社又は再保険会社」と記述している。
2 https://eur-lex.europa.eu/eli/dir/2025/1/oj/eng
2―IRRD(保険再建・破綻処理指令)について
ここでは、IRRDの概要について、全ての内容を網羅することはできないが、項目を抜粋して説明する。
1|IRRDの概要
IRRDは、再建計画と破綻処理計画の統一基準を設定すること等により、保険契約者の利益を保護し、金融の安定性を維持しながら、EU加盟国全体で一貫した再建・破綻処理の枠組みを確立することを目指している。IRRDは、保険会社が重大な苦境に陥った場合でも、公的資金への依存を最小限に抑えながら、保険契約者を保護し、金融の安定性を維持するために、監督当局等が迅速かつ効果的に行動できるように、EU加盟国全体で調和のとれた再建・破綻処理のツールと手続き等を定め、監督当局等が取りうる措置や各種の権限を明確に規定している。
現在の再建・破綻処理関係の規則は、各国独自のルールや慣行に基づいているため、特に多くの保険会社が国境を越えて事業を行っている状況下において、課題となっている。現状では、国境を越えて事業を行う保険会社が破綻した場合に、法的な不確実性等から、その秩序だった破綻処理の実行が複雑かつ困難となっており、それは保険契約者間の不平等な取扱や潜在的なマイナスの波及効果を生み出す可能性がある。
IRRDは、一定の要件を満たす保険会社に対して再建計画と破綻処理計画を義務付けることにより、潜在的な危機に対する準備を行うとともに、早期かつ迅速な介入を可能としている。EU加盟国全体で調和のとれたアプローチを採用し、監督当局等の間の調整と協力を奨励することで、国境を越えて事業を行う保険会社への対応が迅速かつ効果的に行えるようになる。
これらの仕組みとソルベンシーIIにおいて規定された対応を通じて、IRRDは、EUの保険セクターの安定性と強靭性を強化する枠組みを確立している。
具体的には、保険会社及びグループは、各国監督当局に対して、先制的な再建計画(pre-emptive recovery planning)3を提出することが義務付けられる。この要件は、それぞれの(再)保険市場の少なくとも 60% を代表する会社に適用される。また、各加盟国は、破綻処理ツールを適用し、破綻処理権限を与えられた破綻処理当局(resolution authority)4を指定する。破綻処理当局は、それぞれの市場の少なくとも40%を占める保険会社及びグループに対する破綻処理計画(resolution plan)を策定する必要がある。破綻処理当局には、調整的かつタイムリーな方法で破綻処理措置を実施する権限が与えられ、破綻処理当局はこの破綻処理権限を行使し、破綻処理ツールを適用する。なお、SNCU(小規模で複雑でない会社)は、原則として個別の先制的な再建計画や破綻処理計画の対象外となる等、IRRDは比例的な枠組みを採用している。
3 「予防的再建計画(予防的再生計画)」、「プリエンプティブな再建計画」とも翻訳されるが、以下では「先制的な再建計画」と翻訳している。
4 各国の中央銀行、所管官庁、公的行政当局又は公的行政権限を委任された当局。監督当局と同一の組織である場合には、両者の機能の間の利益相反を回避するために、適切な構造的取決めが必要となる。
IRRDは、再建計画と破綻処理計画の統一基準を設定すること等により、保険契約者の利益を保護し、金融の安定性を維持しながら、EU加盟国全体で一貫した再建・破綻処理の枠組みを確立することを目指している。IRRDは、保険会社が重大な苦境に陥った場合でも、公的資金への依存を最小限に抑えながら、保険契約者を保護し、金融の安定性を維持するために、監督当局等が迅速かつ効果的に行動できるように、EU加盟国全体で調和のとれた再建・破綻処理のツールと手続き等を定め、監督当局等が取りうる措置や各種の権限を明確に規定している。
現在の再建・破綻処理関係の規則は、各国独自のルールや慣行に基づいているため、特に多くの保険会社が国境を越えて事業を行っている状況下において、課題となっている。現状では、国境を越えて事業を行う保険会社が破綻した場合に、法的な不確実性等から、その秩序だった破綻処理の実行が複雑かつ困難となっており、それは保険契約者間の不平等な取扱や潜在的なマイナスの波及効果を生み出す可能性がある。
IRRDは、一定の要件を満たす保険会社に対して再建計画と破綻処理計画を義務付けることにより、潜在的な危機に対する準備を行うとともに、早期かつ迅速な介入を可能としている。EU加盟国全体で調和のとれたアプローチを採用し、監督当局等の間の調整と協力を奨励することで、国境を越えて事業を行う保険会社への対応が迅速かつ効果的に行えるようになる。
これらの仕組みとソルベンシーIIにおいて規定された対応を通じて、IRRDは、EUの保険セクターの安定性と強靭性を強化する枠組みを確立している。
具体的には、保険会社及びグループは、各国監督当局に対して、先制的な再建計画(pre-emptive recovery planning)3を提出することが義務付けられる。この要件は、それぞれの(再)保険市場の少なくとも 60% を代表する会社に適用される。また、各加盟国は、破綻処理ツールを適用し、破綻処理権限を与えられた破綻処理当局(resolution authority)4を指定する。破綻処理当局は、それぞれの市場の少なくとも40%を占める保険会社及びグループに対する破綻処理計画(resolution plan)を策定する必要がある。破綻処理当局には、調整的かつタイムリーな方法で破綻処理措置を実施する権限が与えられ、破綻処理当局はこの破綻処理権限を行使し、破綻処理ツールを適用する。なお、SNCU(小規模で複雑でない会社)は、原則として個別の先制的な再建計画や破綻処理計画の対象外となる等、IRRDは比例的な枠組みを採用している。
3 「予防的再建計画(予防的再生計画)」、「プリエンプティブな再建計画」とも翻訳されるが、以下では「先制的な再建計画」と翻訳している。
4 各国の中央銀行、所管官庁、公的行政当局又は公的行政権限を委任された当局。監督当局と同一の組織である場合には、両者の機能の間の利益相反を回避するために、適切な構造的取決めが必要となる。
(参考)IRRDの背景
保険会社の無秩序な破綻は、保険契約者、保険金受取人、その他の債権者、又は影響を受ける企業に重大な影響を与える可能性がある。それは金融不安をさらに引き起こしたり増幅させたりして、実体経済全体に影響を与えたり、公的資金への例外的な依存を要求する可能性がある。
これまでは、保険会社を破綻処理するための欧州レベルでの統一された手順は存在せず、加盟国間に大きな違いがあったため、保険契約者と受取人の保護レベルが不均一となっていた。
2021年9月22日、欧州委員会はソルベンシーII規則の包括的な検討パッケージの一環として、ソルベンシーII指令の修正案とIRRDの提案を理事会に送付した。その後、欧州議会や理事会での検討等が行われるプロセスを経て、2024年11月に最終化された。
保険会社の無秩序な破綻は、保険契約者、保険金受取人、その他の債権者、又は影響を受ける企業に重大な影響を与える可能性がある。それは金融不安をさらに引き起こしたり増幅させたりして、実体経済全体に影響を与えたり、公的資金への例外的な依存を要求する可能性がある。
これまでは、保険会社を破綻処理するための欧州レベルでの統一された手順は存在せず、加盟国間に大きな違いがあったため、保険契約者と受取人の保護レベルが不均一となっていた。
2021年9月22日、欧州委員会はソルベンシーII規則の包括的な検討パッケージの一環として、ソルベンシーII指令の修正案とIRRDの提案を理事会に送付した。その後、欧州議会や理事会での検討等が行われるプロセスを経て、2024年11月に最終化された。
2|適用範囲
IRRDは、ソルベンシーIIの対象となるEUの(再)保険会社、EUの親会社、EUの保険持株会社、EUの混合金融持株会社、及び特定の条件を満たす第三国(EU域外)の(再)保険会社の支店等の事業体の再建・破綻処理に関する規則と手順を定めている。
IRRDは、また関連する(再)保険会社が破綻処理を開始する場合に必要なサービス提供者に関連する規則と手順を定めている。
監督当局及び破綻処理当局は、IRRDに定められた要件を確立し適用する際や上記の事業体に関して自由に利用できる様々なツールを適用する際に、当該事業体の事業の性質、その株式保有構造、法的形態、リスクプロファイル、規模、法的地位、及び他の機関や金融システム一般との相互関連性、ならびに事業体の活動の範囲及び複雑さを考慮しなければならない。
なお、第三国の(再)保険会社のEUの支店に関しては、IRRDは加盟国と第三国 (及びそれぞれの破綻処理当局)との間の協力等について規定している。また、第三国の破綻処理手続きの承認及び執行について規定しているが、一方で(a)加盟国の金融の安定性に悪影響を及ぼす場合、(b)1つ以上の破綻処理目的を達成するために破綻処理当局による独立した破綻処理措置が必要な場合、(c)EUの保険契約者が第三国の保険契約者と平等な扱いを受けられない場合、(d)加盟国の財政に重大な影響を及ぼす場合、(e)その効果が国内法に反する場合、には承認と執行を拒否することができる。このような場合や第三国の破綻処理手続きの対象となっていない場合に、加盟国の破綻処理当局は、第三国の(再)保険会社のEUの支店に関して行動するために必要な権限を有していなければならない。
IRRDは、ソルベンシーIIの対象となるEUの(再)保険会社、EUの親会社、EUの保険持株会社、EUの混合金融持株会社、及び特定の条件を満たす第三国(EU域外)の(再)保険会社の支店等の事業体の再建・破綻処理に関する規則と手順を定めている。
IRRDは、また関連する(再)保険会社が破綻処理を開始する場合に必要なサービス提供者に関連する規則と手順を定めている。
監督当局及び破綻処理当局は、IRRDに定められた要件を確立し適用する際や上記の事業体に関して自由に利用できる様々なツールを適用する際に、当該事業体の事業の性質、その株式保有構造、法的形態、リスクプロファイル、規模、法的地位、及び他の機関や金融システム一般との相互関連性、ならびに事業体の活動の範囲及び複雑さを考慮しなければならない。
なお、第三国の(再)保険会社のEUの支店に関しては、IRRDは加盟国と第三国 (及びそれぞれの破綻処理当局)との間の協力等について規定している。また、第三国の破綻処理手続きの承認及び執行について規定しているが、一方で(a)加盟国の金融の安定性に悪影響を及ぼす場合、(b)1つ以上の破綻処理目的を達成するために破綻処理当局による独立した破綻処理措置が必要な場合、(c)EUの保険契約者が第三国の保険契約者と平等な扱いを受けられない場合、(d)加盟国の財政に重大な影響を及ぼす場合、(e)その効果が国内法に反する場合、には承認と執行を拒否することができる。このような場合や第三国の破綻処理手続きの対象となっていない場合に、加盟国の破綻処理当局は、第三国の(再)保険会社のEUの支店に関して行動するために必要な権限を有していなければならない。
3|先制的な再建計画
先制的な再建計画は、どのようなシナリオが会社の安定性を損なう可能性があるのか、どのような措置を会社が取るべきかを熟考させるものとなっている。
(1) 先制的な再建計画の策定
各監督当局は、保険市場の少なくとも60%(生命保険市場では技術的準備金、損害保険市場では収入保険料に基づく)が先制的な再建計画を作成及び(少なくとも2年毎に)更新する義務を負うことを保証しなければならない。SNCUは、監督当局が国・地域レベルで特定のリスクを表していると考える場合を除き、先制的な再建計画要件(計画の作成及び更新等)の対象とならない。ただし、破綻処理計画の対象となる保険会社は先制的な再建計画要件の対象となる。
グループの親会社が、グループの先制的な再建計画を作成する責任がある。個々の保険会社は、企業の規模、ビジネスモデル、リスクプロファイル、相互連関性と代替性、経済的重要性、国境を越えた活動を考慮して、EUグループのグループ再建計画によって十分にカバーされていない場合に、再建計画を提出する必要がある。
再建計画には、(1)重要な変更を含む計画の要約、(2)会社・グループの説明、(3)(是正措置を検討又は実施すべきポイントを特定する)定性的及び定量的指標の枠組み、(4)可能な様々な是正措置、(5)コミュニケーション戦略、(6)この再建計画がどのように作成、更新、適用されるかについての説明、(7)過去10年間にSCR(ソルベンシー資本要件)に違反した場合の再建計画と取られた措置の評価、等を含める必要がある。
定性的及び定量的指標のフレームワークは、資本、流動性、資産の質、収益性、市場の状況、マクロ経済の状況及び業務上の事象に関する基準を含めることができる。資本の状況に関する指標には、少なくとも、SCRの違反が含まれなければならない。この指標に抵触しているにもかかわらず、是正措置をとらないことを決めた場合には、遅滞なく監督当局に通知しなければならない。
なお、保険会社が再建計画を立てる必要があるかどうかは、その破綻が経済とその保険契約者に与える可能性のある潜在的な影響によって異なる。計画(再建計画及び(以下の「4|」で述べる)破綻処理計画)は、事業の性質、その法的形態と構造、リスク、規模、複雑さを考慮して、比例したものでなければならない。適切な基準が満たされている場合、保険会社は、内容と詳細、提出日と頻度等の点で、簡素化された計画に関する要件を適用することができる。
(2) 監督当局によるレビューと評価
監督当局は、計画の提出から9か月以内に、再建計画をレビューし、再建オプションが保険会社の財政状態を維持又は回復する可能性が合理的にあり、迅速かつ効果的に実施でき、金融システムへの重大な悪影響を可能な限り回避できるかどうか等を評価しなければならない。監督当局は、計画に重大な欠陥や実施に対する重大な障害があると結論付けた場合、保険会社に通知し、保険会社は2か月以内に修正計画を提出する必要があるが、要請に応じて1か月延長される場合がある。監督当局は、保険会社に特定の変更を行うように指示する場合がある。保険会社がこれらの修正計画の提出や重大な欠陥や障害の是正に対処しない場合、監督当局は保険会社に対し、必要な変更や措置を講じるように要求できる。
監督当局は、受領した再建計画を破綻処理当局に提供しなければならない。破綻処理当局は、計画をレビューして、破綻処理可能性に悪影響を及ぼす可能性のある措置を特定し、監督当局に勧告を行うことができる。
先制的な再建計画は、どのようなシナリオが会社の安定性を損なう可能性があるのか、どのような措置を会社が取るべきかを熟考させるものとなっている。
(1) 先制的な再建計画の策定
各監督当局は、保険市場の少なくとも60%(生命保険市場では技術的準備金、損害保険市場では収入保険料に基づく)が先制的な再建計画を作成及び(少なくとも2年毎に)更新する義務を負うことを保証しなければならない。SNCUは、監督当局が国・地域レベルで特定のリスクを表していると考える場合を除き、先制的な再建計画要件(計画の作成及び更新等)の対象とならない。ただし、破綻処理計画の対象となる保険会社は先制的な再建計画要件の対象となる。
グループの親会社が、グループの先制的な再建計画を作成する責任がある。個々の保険会社は、企業の規模、ビジネスモデル、リスクプロファイル、相互連関性と代替性、経済的重要性、国境を越えた活動を考慮して、EUグループのグループ再建計画によって十分にカバーされていない場合に、再建計画を提出する必要がある。
再建計画には、(1)重要な変更を含む計画の要約、(2)会社・グループの説明、(3)(是正措置を検討又は実施すべきポイントを特定する)定性的及び定量的指標の枠組み、(4)可能な様々な是正措置、(5)コミュニケーション戦略、(6)この再建計画がどのように作成、更新、適用されるかについての説明、(7)過去10年間にSCR(ソルベンシー資本要件)に違反した場合の再建計画と取られた措置の評価、等を含める必要がある。
定性的及び定量的指標のフレームワークは、資本、流動性、資産の質、収益性、市場の状況、マクロ経済の状況及び業務上の事象に関する基準を含めることができる。資本の状況に関する指標には、少なくとも、SCRの違反が含まれなければならない。この指標に抵触しているにもかかわらず、是正措置をとらないことを決めた場合には、遅滞なく監督当局に通知しなければならない。
なお、保険会社が再建計画を立てる必要があるかどうかは、その破綻が経済とその保険契約者に与える可能性のある潜在的な影響によって異なる。計画(再建計画及び(以下の「4|」で述べる)破綻処理計画)は、事業の性質、その法的形態と構造、リスク、規模、複雑さを考慮して、比例したものでなければならない。適切な基準が満たされている場合、保険会社は、内容と詳細、提出日と頻度等の点で、簡素化された計画に関する要件を適用することができる。
(2) 監督当局によるレビューと評価
監督当局は、計画の提出から9か月以内に、再建計画をレビューし、再建オプションが保険会社の財政状態を維持又は回復する可能性が合理的にあり、迅速かつ効果的に実施でき、金融システムへの重大な悪影響を可能な限り回避できるかどうか等を評価しなければならない。監督当局は、計画に重大な欠陥や実施に対する重大な障害があると結論付けた場合、保険会社に通知し、保険会社は2か月以内に修正計画を提出する必要があるが、要請に応じて1か月延長される場合がある。監督当局は、保険会社に特定の変更を行うように指示する場合がある。保険会社がこれらの修正計画の提出や重大な欠陥や障害の是正に対処しない場合、監督当局は保険会社に対し、必要な変更や措置を講じるように要求できる。
監督当局は、受領した再建計画を破綻処理当局に提供しなければならない。破綻処理当局は、計画をレビューして、破綻処理可能性に悪影響を及ぼす可能性のある措置を特定し、監督当局に勧告を行うことができる。
(2025年03月18日「基礎研レポート」)
中村 亮一のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/04/25 | 欧州大手保険グループの2024年の生命保険新契約業績-商品タイプ別・地域別の販売動向・収益性の状況- | 中村 亮一 | 基礎研レポート |
2025/04/14 | 欧州大手保険グループの地域別の事業展開状況-2024年決算数値等に基づく現状分析- | 中村 亮一 | 基礎研レポート |
2025/04/01 | 欧州大手保険グループの2024年末SCR比率等の状況-ソルベンシーII等に基づく数値結果報告と資本管理等に関係するトピック- | 中村 亮一 | 基礎研レポート |
2025/03/18 | EUがIRRD(保険再建・破綻処理指令)を最終化-業界団体は負担の軽減とルールの明確化等を要求- | 中村 亮一 | 基礎研レポート |
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