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2025年中国全人代のポイント-米中摩擦のなか、内需拡大で「+5%前後」成長とデフレ回避を目指す

経済研究部 主任研究員 三浦 祐介
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1――経済政策の目標 : 成長率目標は据え置き。物価目標はインフレ対応からデフレ対応に変化
1 アジア通貨危機等の影響で現在と同様、需要不足やデフレが課題となっていた1999年から2003年にかけては、「+1~2%」など、+3%以下の目標とされていたが、2004年以降の物価目標は、+3%以上の水準で設定とされている。
2――財政・金融政策の方針
なお、「報告」では、「情勢の変化に応じてタイムリーな政策調整を行う」とも述べており、米中摩擦等による経済下押し圧力が強まった場合には、23年にみられたように補正予算を組み、対策を強化するという展開もあり得る。
金融政策については、「適度に緩和的な金融政策」とされ、適時に利下げ、預金準備率の引き下げを行う方針や、不動産・株式市場対策も強化する考えなどが示された。
利下げに関しては、経済、物価目標の達成に向け、実施が既定路線だが、人民元や国債市場、銀行の利ざやなど、利下げの副作用も考慮する必要がある。金融市場に関しては、足元では、24年10月以降進展した人民元安が一服しているほか、24年以来続く国債金利の低下にも歯止めがかかっているなど(図表6・7)、一時に比べれば利下げを実施しやすい環境にあるが、米中の摩擦や経済情勢の先行き不透明感が強い。金融市場とのコミュニケーションや介入、監督管理とを組み合わせながら、タイミングを見計らって利下げを実施していくことになるだろう。
不動産・株式市場に関しては、今年の「報告」で、経済政策の基本方針の中に新たに盛り込まれるなど、重視する姿勢が鮮明だ。後述するように、不動産市場に関しては目新しい政策は示されなかったものの、全人代に参加した代表からは、不動産市場安定化基金と、24年から議論が本格化した株式市場安定化基金について、それぞれ10兆元規模で設立すべきとの提言も出されている。今後、一歩踏み込んだ対策が発表されるかが注目点となる。
(2025年03月12日「基礎研レター」)

03-3512-1787
- 【職歴】
・2006年:みずほ総合研究所(現みずほリサーチ&テクノロジーズ)入社
・2009年:同 アジア調査部中国室
(2010~2011年:北京語言大学留学、2016~2018年:みずほ銀行(中国)有限公司出向)
・2020年:同 人事部
・2023年:ニッセイ基礎研究所入社
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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