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女性の月経関連症状に関する実態調査2024-現在月経がある者のうち3割ほどに「イライラする」と「下腹部痛」が出現、対処行動に世代間格差の可能性、配慮措置の拡充を-

生活研究部 研究員・ジェロントロジー推進室・ヘルスケアリサーチセンター 兼任 乾 愛
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本稿では2024年3月に弊社が実施した「女性の健康に関する調査」のデータを用いて、女性の月経関連症状に関する実態を調査した結果を紹介する。
弊社では、2024年3月に、20歳~59歳までの女性を対象とした月経関連症状・更年期障害に関するインターネット調査を実施し、3,000人から回答を得られた。(今回、用いたデータは対象者を女性に限定していることから、パートやアルバイトなど労働時間が短く、既婚者の割合が高い傾向がある。)
現在の月経周期に関する状況について尋ねた結果、現在月経がある者は(標準型・遅延型・早発型・月経不順)、計1,909人(63.6%)、現在月経がない者は(月経停止・無月経・閉経)、計1,091人(36.4%)であった。これによると、現在月経がある者のうち、月経の周期が標準型ではない者が38.0%と4割近くにのぼり、早期に婦人科へ受診する必要がある無月経の方も一定数存在することが明らかとなった。
10歳年齢階級別と月経周期のクロス集計の結果では、20歳代では月経の標準型に加えて遅延型が、30歳代では標準型と遅延型に加えて月経停止が、40歳代では月経の標準型と早発型に加えて月経不順である者が、50歳代では閉経を迎えている者が多い結果となった。また、月経停止の割合が30歳代は高く、40歳代が低い結果について、低用量ピルが正式に承認されたのが1999年、月経困難症の治療薬として承認されたのが2008年であることを考慮すると、学生時代に十分な知識を得られたか否かの差が受診行動に影響を与えた結果、世代間の差に現れた可能性が推察された。
現在月経がある者計1,909人を対象に月経関連症状について尋ねた結果、「イライラする」、「下腹部痛」、「当てはまるものがない」の順に上位を占めており、概ね先行研究の結果と一致している。
日本では、現在、兵庫県や群馬県で月経に関連した体調不良を追試対象として取り扱い、文部科学省では大学受験での評価について、月経による体調不良による欠席に配慮するよう通知が出されるなど配慮措置が拡充しているが、自治体による対応基準の差異など課題は山積している。一方で、労働基準法では生理休暇が保障されているものの、その取得率は低く、十分に活用されているとは言い難い。勤務先への要望として、婦人科受診の時間確保や低用量ピル費用補助があげられていることから、今後はプレコンセプションケア支援としての視点が企業に求められているのであろう。
■目次
1――はじめに
2――女性の月経関連症状の実態
1|調査概要
2|月経周期の状況
3|年齢区分と月経周期
4|月経関連症状の実態
3――月経関連症状に対応する制度・体制と課題
1|大学受験への配慮
2|生理休暇
(2025年03月04日「基礎研レポート」)
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03-3512-1847
- 【職歴】
2012年 東大阪市入庁(保健師)
2018年 大阪市立大学大学院 看護学研究科 公衆衛生看護学専攻 前期博士課程修了(看護学修士)
2019年 ニッセイ基礎研究所 入社
・大阪市立大学(現:大阪公立大学)研究員(2019年~)
・東京医科歯科大学(現:東京科学大学)非常勤講師(2023年~)
・文京区子ども子育て会議委員(2024年~)
【資格】
看護師・保健師・養護教諭一種・第一種衛生管理者
【加入団体等】
日本公衆衛生学会・日本公衆衛生看護学会・日本疫学会
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