2023年08月29日

働く女性の自覚症状(健康問題)-4人に1人が「慢性的な肩こり」を自覚、「精神的なストレス」が仕事へ最も影響、月経関連症状は1割未満-

生活研究部 研究員・ジェロントロジー推進室・ヘルスケアリサーチセンター 兼任 乾 愛

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■要旨

本稿では、弊社の「被用者の働き方と健康に関する調査」の結果を用いて、働く女性に焦点を当て、自覚症状(健康問題)について調査した結果を整理した。

本調査では、就労中の女性(N=2,289人)の自覚症状(健康問題)として、「特にない」と回答した割合が13.6%(ケースの割合36.5%)と最も高いものの、有症状の順番としては、「慢性的な肩こり」が9.4%(ケースの割合:25.8%)と最も多く、次いで「ストレスを感じる」が9.3%ケースの割合:25.5%)であった。労働損失を招くとされる月経関連症状の自覚は3.3%(ケースの割合9.0%)に留まることが明らかとなった。

次に、調査時点において自覚症状を有している就労女性1,454人に対し、仕事へ最も影響を与えた自覚症状(健康問題)について調査した結果、「仕事には影響していない」」と回答した割合が16.2%と最も高く、次に「ストレスを感じる」が8.7%、続いて「慢性的な肩こり」が6.7%、女性特有の疾患とされる「月経関連症状」と回答した者は1.7%であることが明らかとなった。

「慢性的な肩こり」は、座位中心の生活をしている筋力が弱い女性との関連性が示されており、デスクワーク型の就労女性は姿勢や筋力低下に注意する必要がある。また、精神的なストレス症状は、仕事への影響が大きく、ストレスチェックなどを活用した上で、自身のストレス状況を自覚する機会を確保することが重要である。さらに、女性特有の月経関連症状の自覚率が3.3%、ケースの割合だと9.0%に留まるのは、体調面を考慮した女性が常勤職を回避している可能性があり、女性の社会進出を後押しし、労働損失回避のためには、体調面を考慮した柔軟な働き方の導入が重要なポイントとなり得よう。

次稿では、働く男性の自覚症状(健康問題)について、弊社調査の結果を整理する予定である。

■目次

1――はじめに
2――働く女性の自覚症状
  1|分析対象者の基本属性
  2|働く女性の自覚症状(多重回答)
  3|仕事へ最も影響を与えた自覚症状(健康問題) 
3――就労女性の自覚症状と打開策
  1|「慢性的な肩こり」はデスクワークの女性に多い?
  2|仕事へ直接的に影響を及ぼす精神的なストレス症状
  3|就労中の女性に月経関連症状の自覚割合は1割未満、これが意味することは?
4――まとめ
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生活研究部   研究員・ジェロントロジー推進室・ヘルスケアリサーチセンター 兼任

乾 愛 (いぬい めぐみ)

研究・専門分野
母子保健・高齢社会・健康・医療・ヘルスケア

経歴
  • 【職歴】
     2012年 東大阪市 入庁(保健師)
     2018年 大阪市立大学大学院 看護学研究科 公衆衛生看護学専攻 前期博士課程修了
         (看護学修士)
     2019年 ニッセイ基礎研究所 入社
     2019年~大阪市立大学大学院 看護学研究科 研究員(現:大阪公立大学 研究員)

    【資格】
    看護師・保健師・養護教諭一種・第一種衛生管理者

    【加入団体等】
    日本公衆衛生学会・日本公衆衛生看護学会・日本疫学会

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