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- 選挙におけるSNS偽情報対策-EUのDSAにおけるガイドライン
2025年02月13日
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■要旨
本稿ではEUのデジタルサービス法(Digital Services Act、DSA)に基づいて規定された、選挙における偽情報拡散抑止を目的とするガイドラインを紹介する。対象となる主体としては特に大きなオンラインプラットフォーム(Very Large Online Platform、VLOP)および特に大きなオンライン検索エンジン(Very Large Online Search Engine、VLOSE)である。VLOPとVLOSEを併せて以下、VLOP等という。
VLOP等がベースとして行っておかなければいけないこととして、(1)政党をはじめとする選挙情報の収集、(2)選挙の行われる国や地方特有の情報収集と分析、(3)偽情報対策専門の内部チームの組成、(4)選挙期間中、及びその前後にわたり求められる軽減措置が挙げられている。
具体的なリスク軽減策としては、ア)ユーザーが選挙の公式情報に容易にアクセスできるようにすること、イ)ユーザーのリテラシー向上に向けた取組の実施、ウ)ファクトチェック機関の利用、エ)偽情報を推奨システム上目立たなくするなどの取組、オ)政治広告に関する透明性の確保、カ)インフルエンサーの政治広告についてスポンサーなどの透明性の確保、キ)偽情報コンテンツの収益化の防止、ク)オンライン上で行われる不正操作の防止、ケ)軽減措置のテスト実施等がある。
このようなリスク軽減策については研究者による精査と調査を可能にするべきとされ、また欧州憲章で認められた基本的権利に対する評価を行い、市民社会団体等へ報告をすべきであるとされている。
そのほか、i)生成AIにより生み出された画像等について、AIで作成されたものということを表示、ii)各国当局、独立した専門家、市民社会組織、報道機関、ファクトチェック機関との協力、iii)選挙期間中は社内外のリソースを活用し、発生したインシデントの影響を軽減する対策を取る、iv)選挙後は選挙期間中に実施されたリスク軽減策をレビューすることなどが求められる。
■目次
1――はじめに
2――若干の前提
1|DSAによるガイドライン
2|本ガイドラインの導入部
3|違法なコンテンツ
4|本ガイドラインの適用範囲
3――講ずべき措置
1|総論
2|既存のベスト・プラクティスの活用
3|具体的な軽減策
4|第三者による精査・調査・データアクセス
5|基本的権利
4――軽減策に関するいくつかの側面
1|生成AIを踏まえた軽減策
2|各国当局、独立した専門家及び市民社会組織との協力
3|選挙期間中
4|選挙期間終了後
5――おわりに
本稿ではEUのデジタルサービス法(Digital Services Act、DSA)に基づいて規定された、選挙における偽情報拡散抑止を目的とするガイドラインを紹介する。対象となる主体としては特に大きなオンラインプラットフォーム(Very Large Online Platform、VLOP)および特に大きなオンライン検索エンジン(Very Large Online Search Engine、VLOSE)である。VLOPとVLOSEを併せて以下、VLOP等という。
VLOP等がベースとして行っておかなければいけないこととして、(1)政党をはじめとする選挙情報の収集、(2)選挙の行われる国や地方特有の情報収集と分析、(3)偽情報対策専門の内部チームの組成、(4)選挙期間中、及びその前後にわたり求められる軽減措置が挙げられている。
具体的なリスク軽減策としては、ア)ユーザーが選挙の公式情報に容易にアクセスできるようにすること、イ)ユーザーのリテラシー向上に向けた取組の実施、ウ)ファクトチェック機関の利用、エ)偽情報を推奨システム上目立たなくするなどの取組、オ)政治広告に関する透明性の確保、カ)インフルエンサーの政治広告についてスポンサーなどの透明性の確保、キ)偽情報コンテンツの収益化の防止、ク)オンライン上で行われる不正操作の防止、ケ)軽減措置のテスト実施等がある。
このようなリスク軽減策については研究者による精査と調査を可能にするべきとされ、また欧州憲章で認められた基本的権利に対する評価を行い、市民社会団体等へ報告をすべきであるとされている。
そのほか、i)生成AIにより生み出された画像等について、AIで作成されたものということを表示、ii)各国当局、独立した専門家、市民社会組織、報道機関、ファクトチェック機関との協力、iii)選挙期間中は社内外のリソースを活用し、発生したインシデントの影響を軽減する対策を取る、iv)選挙後は選挙期間中に実施されたリスク軽減策をレビューすることなどが求められる。
■目次
1――はじめに
2――若干の前提
1|DSAによるガイドライン
2|本ガイドラインの導入部
3|違法なコンテンツ
4|本ガイドラインの適用範囲
3――講ずべき措置
1|総論
2|既存のベスト・プラクティスの活用
3|具体的な軽減策
4|第三者による精査・調査・データアクセス
5|基本的権利
4――軽減策に関するいくつかの側面
1|生成AIを踏まえた軽減策
2|各国当局、独立した専門家及び市民社会組織との協力
3|選挙期間中
4|選挙期間終了後
5――おわりに
(2025年02月13日「基礎研レポート」)
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経歴
- 【職歴】
1985年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所 内部監査室長兼システム部長
2015年4月 生活研究部部長兼システム部長
2018年4月 取締役保険研究部研究理事
2021年4月 常務取締役保険研究部研究理事
2025年4月より現職
【加入団体等】
東京大学法学部(学士)、ハーバードロースクール(LLM:修士)
東京大学経済学部非常勤講師(2022年度・2023年度)
大阪経済大学非常勤講師(2018年度~2022年度)
金融審議会専門委員(2004年7月~2008年7月)
日本保険学会理事、生命保険経営学会常務理事 等
【著書】
『はじめて学ぶ少額短期保険』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2024年02月
『Q&Aで読み解く保険業法』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2022年07月
『はじめて学ぶ生命保険』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2021年05月
松澤 登のレポート
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