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- ユーロ圏消費者物価(25年1月)-総合指数は2.5%まで上昇
2025年02月04日
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1.結果の概要:総合指数は4か月連続で上昇し、2.5%に
2月3日、欧州委員会統計局(Eurostat)は1月のユーロ圏のHICP(Harmonized Indices of Consumer Prices:EU基準の消費者物価指数)速報値を公表し、結果は以下の通りとなった。
【総合指数】
・前年同月比は2.5%、市場予想1(2.4%)より上振れ、前月(2.4%)から上昇した(図表1)
・前月比は▲0.3%、予想(▲0.4%)より上振れ、前月(0.4%)からマイナスに転じた
【総合指数からエネルギーと飲食料を除いた指数2】
・前年同月比は2.7%、予想(2.4%)より上振れ、前月(2.7%)から横ばいだった(図表2)
・前月比は▲1.0%、前月(0.5%)からマイナスに転じた
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
2 日本の消費者物価指数のコアコアCPI、米国の消費者物価指数のコアCPIに相当するもの。ただし、ユーロ圏の指数はアルコール飲料も除いており、日本のコアコアCPIや米国のコアCPIとは若干定義が異なる。
2.結果の詳細:エネルギーインフレが全体のインフレ率を押し上げ
1月のHICP上昇率3(前年同月比)は全体で2.5%となり、24年12月(2.4%)から上昇した。9月(1.7%)をボトムに4か月連続の上昇となる。「コア部分(=エネルギーと飲食料を除く総合)」は2.7%で4か月連続の横ばい推移となる。
以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
まず、コア部分である「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」が11月0.6%→12月0.5%→1月0.5%となった。「財」はここのところ0%台半ばでの横ばい圏で推移している。「サービス」(エネルギーを除く)は11月3.9%→12月4.0%→1月3.9%と、こちらも4%前後の高めの水準での横ばい圏で推移している。前年同月比寄与度は、「財」が0.12%ポイント程度、「サービス」が1.68%ポイント程度と見られる。
コア以外の部分では「エネルギー」が前年同月比で11月▲2.0%→12月0.1%→1月1.8%と伸び率を高めた。エネルギーの前年同月比寄与度は0.22%ポイント程度(12月は0.01%ポイント)と見られる(前掲図表2)。コアインフレが横ばいで推移するなか、エネルギーインフレが全体のインフレ率を押し上げた形となった。
以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
まず、コア部分である「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」が11月0.6%→12月0.5%→1月0.5%となった。「財」はここのところ0%台半ばでの横ばい圏で推移している。「サービス」(エネルギーを除く)は11月3.9%→12月4.0%→1月3.9%と、こちらも4%前後の高めの水準での横ばい圏で推移している。前年同月比寄与度は、「財」が0.12%ポイント程度、「サービス」が1.68%ポイント程度と見られる。
コア以外の部分では「エネルギー」が前年同月比で11月▲2.0%→12月0.1%→1月1.8%と伸び率を高めた。エネルギーの前年同月比寄与度は0.22%ポイント程度(12月は0.01%ポイント)と見られる(前掲図表2)。コアインフレが横ばいで推移するなか、エネルギーインフレが全体のインフレ率を押し上げた形となった。
「飲食料(アルコール含む)」は、前年同月比で2.3%(12月2.6%)と低下(図表3)、内訳を見ると、飲食料のうち加工食品の伸び率は2.6%(12月2.9%)、未加工食品は1.4%(12月1.6%)と低下した。飲食料の前年同月比寄与度は0.58%ポイント程度(11月は0.53%ポイント)と見られる。
物価上昇の勢いをECBが公表する季節調整済系列で確認すると(図表4)、3か月移動平均後の3か月前比年率で総合指数が2.4%(12月1.9%)、コアが1.8%(12月1.8%)、エネルギーを除く財が0.6%(12月0.4%)、サービスが2.4%(12月2.6%)、飲食料が2.9%(12月4.1%)となった。総合指数やコアの物価上昇の勢いはいずれも2%前後での推移となっている。
物価上昇の勢いをECBが公表する季節調整済系列で確認すると(図表4)、3か月移動平均後の3か月前比年率で総合指数が2.4%(12月1.9%)、コアが1.8%(12月1.8%)、エネルギーを除く財が0.6%(12月0.4%)、サービスが2.4%(12月2.6%)、飲食料が2.9%(12月4.1%)となった。総合指数やコアの物価上昇の勢いはいずれも2%前後での推移となっている。
国別のHICP上昇率は、前年同月比で20か国中、上昇したのは12か国、残りの8か国は低下した(図表5)。また、物価目標の2%を下回ったのは5か国だった。なお、前月比では20か国中8か国がプラス、12か国がマイナスの伸び率となった(図表6)。
3 23年からはユーロ圏20か国のデータ、22年までは19か国のデータ(以降も特に断りがない限り同様)。
3 23年からはユーロ圏20か国のデータ、22年までは19か国のデータ(以降も特に断りがない限り同様)。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2025年02月04日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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