- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融市場・外国為替(通貨・相場) >
- 円相場は乱高下、今後は円高か円安か?~マーケット・カルテ9月号
2024年08月16日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大

当面は落ち着きどころを模索する時間帯となり、やや不安定な値動きが想定されるが、次第に円高基調になっていくと予想している。米国の物価上昇圧力は着実に鈍化していることから、FRBは9月に利下げを開始し、以降継続すると見込まれる。一方、日銀は市場が落ち着くにつれて、再び追加利上げへの意欲を表してくるだろう。両者の結果としての日米金利差の縮小が円高に作用すると見ている。ただし、(1)投機筋の円売りは既に相当解消されたとみられること、(2)FRBの利下げは既に市場でかなり織り込まれていること、(3)貿易赤字やデジタル赤字といった実需の円売りは健在であることから、円高のペースは緩やかになりそうだ。
なお、自民党総裁選に関しては、大方の有力候補は日銀の利上げ路線を容認しているとみられるため、影響は限られると見ている。米大統領選の情勢は拮抗しており予断を許さないが、結果に関わらず、選挙後には不透明感の緩和を口実としたリスク選好地合いの下、円がやや売られる可能性が高い。3か月後の水準は145円弱と見込んでいる。
長期金利は月初1.0%台前半でスタートした後、米景気後退懸念を受けて一旦0.7%台に急低下した。その後は堅調な内外経済指標を受けてやや持ち直し、足元では0.8%台後半にある。
日銀は今月から国債買入れの減額を開始しており、今後も減額を続けていく計画を示している。さらに追加利上げ観測も次第に復していくとみられるため、長期金利は上昇に向かうだろう。一方で、FRBの利下げ開始が金利抑制要因となる。3ヵ月後の水準は1.0%台と予想している(ユーロ円に関する記述は割愛)。
(執筆時点:2024/8/16)
(2024年08月16日「基礎研マンスリー」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
上野 剛志のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/07/01 | 日銀短観(6月調査)~トランプ関税の悪影響は今のところ限定的だが、早期の利上げには直結せず | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/06/27 | 資金循環統計(25年1-3月期)~個人金融資産は2195兆円と伸びが大きく鈍化、家計のリスク資産投資は加速 | 上野 剛志 | 経済・金融フラッシュ |
2025/06/19 | 緊迫化する中東情勢、ドル円への影響は?~マーケット・カルテ7月号 | 上野 剛志 | 基礎研マンスリー |
2025/06/18 | 日銀短観(6月調査)予測~大企業製造業の業況判断DIは4ポイント低下の8と予想、設備投資計画も抑制的に | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
新着記事
-
2025年07月02日
日本女性の“やせ”の特徴 -
2025年07月02日
ユーロ圏消費者物価(25年6月)-総合指数の前年比2%水準が継続 -
2025年07月02日
「福岡オフィス市場」の現況と見通し(2025年) -
2025年07月01日
日銀短観(6月調査)~トランプ関税の悪影響は今のところ限定的だが、早期の利上げには直結せず -
2025年07月01日
加熱する中国フードデリバリー抗争-ドライバー争奪の切り札として進む社会保険適用
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【円相場は乱高下、今後は円高か円安か?~マーケット・カルテ9月号】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
円相場は乱高下、今後は円高か円安か?~マーケット・カルテ9月号のレポート Topへ