- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融市場・外国為替(通貨・相場) >
- 介入・米利下げ観測で円安一服、いよいよ円高が進む?~マーケット・カルテ8月号
2024年07月22日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
月初1ドル161円台半ばでスタートしたドル円は円高ドル安に振れ、足元では157円台前半にある。この間、CPIの予想割れ等に伴う米利下げ観測の高まり、日本政府による円買い介入実施(現時点では推測)、米大統領再選が意識されるトランプ前大統領によるドル高是正発言、河野太郎デジタル相による利上げ要求報道など円高・ドル安材料が相次ぎ、投機的な円売りの巻き戻しが発生した。米経済指標には堅調なものも依然見受けられるほか、FRBの利下げは最短で9月とみられるため、目先のドル円は方向感が出にくいだろう。ただし、FRBは物価上昇の鈍化について自信を強めつつあるとみられることから、9月に利下げが開始される可能性が高まった。従って、9月中旬のFOMCが近づくにつれてドル安圧力が強まっていく展開が見込まれる。また、あくまで脇役に留まるものの、日銀による早期利上げ観測の高まりが円高に働く場面も想定される。一方で、本邦貿易赤字・デジタル赤字・旺盛な対外投資から成る実需の円売り圧力は健在のため、円高の余地は限られるだろう。3か月後の水準は155円程度と予想している。
なお、今後とも米大統領選を巡る思惑がドル円の変動要因になる点には留意が必要だ。現在優勢にあるトランプ氏は景気・インフレ加速的な政策を掲げているだけに、基本的に同氏の再選確率が上がれば、米金利上昇を通じたドル高圧力が高まりやすい。一方で、同氏はドル安志向が強いことから、先日のように、ドル高是正発言が出て一時的にドル安が進む事態も想定される。
長期金利は月初1.0%台半ばでスタートした後、日銀による利上げ観測で一旦上昇したが、その後はFRBによる利下げ観測に伴う米金利低下を受けてやや低下し、足元では1.0%台半ばにある。
日銀は7月MPM後に国債買入れの減額を開始するうえ、利上げ観測も燻り続けるとみられるため、長期金利の上昇圧力は今後高まると考えられる。ただし、日銀の国債買入れ方針が明らかになることで、不透明感を理由に手控えていた国債投資を再開する投資家も出てくるだろう。また、FRBの利下げ開始も金利抑制要因となると見込まれるため、3ヵ月後の水準は現状比でやや高い1.1%台と予想している(ユーロ円に関する記述は割愛)。
(執筆時点:2024/7/22)
(2024年07月22日「基礎研マンスリー」)
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
上野 剛志のレポート
| 日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
|---|---|---|---|
| 2025/09/05 | 金(Gold)の強気相場は続くか~3600ドル到達後のNY金見通し | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
| 2025/08/22 | 米利下げ再開が視野に、円高進行の目途は?~マーケット・カルテ9月号 | 上野 剛志 | 基礎研マンスリー |
| 2025/08/12 | 貸出・マネタリー統計(25年7月)~銀行貸出が連月で急増、定期預金も増勢を拡大中 | 上野 剛志 | 経済・金融フラッシュ |
| 2025/08/04 | 長期金利1.6%到達は通過点か?~今後の金利見通し | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
新着記事
-
2025年09月16日
インド消費者物価(25年9月)~8月のCPI上昇率は+2.1%に上昇、GST合理化でインフレ見通しは緩和 -
2025年09月16日
タイの生命保険市場(2024年版) -
2025年09月16日
外国人問題が争点化した背景-取り残されたと憤る層を包摂する政策を -
2025年09月16日
男性の育休取得の現状(2024年度)-過去最高の40.5%へ、産後パパ育休で「すそ野拡大」効果も -
2025年09月16日
今週のレポート・コラムまとめ【9/9-9/12発行分】
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【介入・米利下げ観測で円安一服、いよいよ円高が進む?~マーケット・カルテ8月号】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
介入・米利下げ観測で円安一服、いよいよ円高が進む?~マーケット・カルテ8月号のレポート Topへ










