2024年07月19日

長期投資におけるリターンとリスク-長期投資では年率リターンと年率リスクで判断してはいけない

金融研究部 研究員 熊 紫云

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■要旨

新NISAや確定拠出年金を活用して老後のための資産形成等を目指す長期投資では「リスクが大きいことのデメリットよりリターンが大きいことのメリットが大きい」ということは過去のデータから明らかである1が、今回は長期投資におけるリターンとリスクに焦点を当てて、少しだけ理論的にいろいろと考えてみたい。

投資商品の特性は年率リターンと年率リスクで表すことが多い。短期的価格変動を表す年率リスクが大きい投資商品に対して不安を感じることは当然のことかもしれない。しかし、長期投資の場合はリターンとリスクについて違った考え方が必要である。

投資期間が長くなると累積リターンと累積リスクは大きくなるが、それぞれが実際どれだけ増加するかを過去のデータ等を用いて確認してみたい。また、投資期間をT年間と仮定すると、累積リスクは年率リスクのT倍になるのではなく、√T倍になるという簡便法2があるが、この方法が実際に役に立つのかどうかも確認したい。
 
1 基礎研レポート「新NISAでは何にどのように投資したら良いのか-長期の資産形成ではリスクよりもリターンを気にすべき」をご参照ください。
2 簡便法が導く値は前提条件によって誤差が大きい。今回は分かりやすいレポートの発信を目的としているため、誤差について言及していない。


■目次

1――投資におけるリターンとリスク
2――長期投資の場合の期待リターンはどうなるのか
3――長期投資の場合のリスク
4――資産形成での活用方法
5――まとめ


※ 本稿は2023年12月22日発行「基礎研レポート」を加筆・修正したものである。

(2024年07月19日「ニッセイ基礎研所報」)

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金融研究部   研究員

熊 紫云 (ゆう しうん)

研究・専門分野
資産運用・資産形成

経歴
  • 【職歴】
     2020年   日本生命保険相互会社入社
     2021年4月 ニッセイ基礎研究所へ

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会検定会員

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