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- 英国金融政策(5月MPC公表)-6会合連続で政策金利据え置きを決定
2024年05月10日
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4.議事要旨の概要
記者会見の冒頭説明原稿や金融政策報告書および議事要旨の概要(上記金融政策の方針で触れられていない部分)において注目した内容(趣旨)は以下の通り。
(見通し)
(見通しに関する主要な判断)
(金融政策)
(議事要旨)
(当面の政策決定)
(政策金利決定)
- GDP成長率見通しは、2024年0.5%、25年1%、26年1.25%
(2月時点では、24年0.25%、25年0.75%、26年1%)- CPI上昇率は、2024年2.5%、25年2.25%、26年1.5%(10-12月期の前年比)
(2月時点では、24年2.75%、25年2.5%、26年2% - 失業率は、2024年4.25%、25年4.75%、26年4.75%(10-12月期)
(2月時点では、24年4.25%、25年5%、26年5%)
- CPI上昇率は、2024年2.5%、25年2.25%、26年1.5%(10-12月期の前年比)
(見通し)
- Ofgem(ガス電力市場監督局)が4月に家計用エネルギー価格の上限を引き下げるため、今後数か月でヘッドラインインフレ率は目標にかなり近い水準まで低下すると見込まれる
- しかし、その後エネルギー価格のマイナス寄与が剥落するにつれて、年後半には再び上昇に転じると予想される
- サービスインフレを賃金上昇率はともに2月の予想をやや上回った
- これは、我々に考える機会を与えてくれる
- しかしながら、このサプライズを過大に解釈すべきではない
- データは常に上下するもので、最近、我々が接しているニュースも通常時に予想される変動の範囲内である
- 最新のデータをまとめれば、インフレの持続性が予想よりやや強かったが、それも通常の変動範囲内である
- 次回6月の会合前に、インフレ率、経済活動、労働市場に関する2月分のデータが入手でき、改めて判断を行うのに役に立つと見られる
- 明確にしておきたい点として、6月の政策金利の変更は除外されていないし、既成事実でもない
(見通しに関する主要な判断)
- 中期的な見通し評価は、委員会の3つの主要な判断に導かれている
- GDP成長率は見通し期間にわたって上昇すると見込まれる
- 経済の弛み(slack)が次第に生じる
- 物価と賃金の2次的効果(second round effect)の解消には時間を要する
- 我々はインフレ判断に2つの重要な調整を加えた
- 過去の輸入物価の影響の大部分はすでに消費者物価に転嫁されたと判断できる
- MPCの最善の総合判断として、国内物価と賃金の2次的効果はこれまで想定されていたよりも若干早く解消する
(金融政策)
- インフレ率が高すぎず、低すぎず、目標である2%付近で留まるためには、我々は今後数四半期のうちに、政策金利を引き下げ、制約的な金融政策を見通し期間にわたって幾分緩和させる必要があるだろうし、もしかしたら現在の市場予想よりも緩和させる必要があるかもしれない
- これは、インフレ率が見通し期間末に目標を下回らないようにすることと整合的である
(議事要旨)
- 英国では、最新の市場参加者調査(MaPS)で、1名を除いた回答者すべてが今回のMPCで政策金利を据え置くと予想していた
- また、全員が次の政策金利の変化方向は利下げだと予想している
- 政策金利の見通し(MaPS)の中央値は、今年累計で0.75%の利下げが行われるというもので、3月英国のイールドカーブは上昇しているものの、3月時点の予想とほぼ同じだった
(当面の政策決定)
- 委員会は、今年度の賃金決定が年初に集中する傾向があるため、これが、賃金上昇率がどの程度緩和し続けるかの重要な指標になると指摘した
- 4月の交渉結果について、中銀エージェントからの情報も含めて、まもなく詳細な情報が入手できるようになる
(政策金利決定)
- 7人の委員が、今回の会合で政策金利を5.25%に維持することが妥当であると判断した
- ヘッドラインインフレ率は財価格におけるベース効果と外的影響などにより低下し続けている
- 制限的な金融政策は実態経済の活動を抑制しており、労働市場の緩和とインフレ圧力の低下をもたらしている
- インフレの持続性に関する主要な指標は概ね予想通りに緩和しているものの、引き続き高い状態にある
- 5月のCPI見通しに示された持続性の仮定を取り巻くリスクについては、メンバー間の見解に開きがある
- また、政策金利の変更に必要と見られる証拠の程度や、今後のデータがインフレの持続性の評価をどの程度更新するかという期待度合いについても見解の開きがあった
- これらのメンバー全員が各会合で政策の制限度合いを引き続き検討することになるだろう
- 2名のメンバーは政策金利を0.25%ポイント引き下げることを希望した
- これらのメンバーは、政策姿勢を円滑かつ段階的に伝達させ、かつ伝達の遅れを考慮すると、現段階で政策金利の制限度合いを緩和する必要があるとした
- CPIインフレ率はすでに、しばらくの間低下基調にある
- 最新の見通しはインフレ率が短期的には目標近くにあり、これはフォワードルッキングな生産価格インフレの指標低下が、投入価格インフレに遅れていることと整合的である
- 需要見通しは引き続き低迷するとされ、求人数が低下し続け、名目賃金上昇率が緩和すれば、中期的に見たインフレ率の安定的な目標回帰に対するリスクは下方にある
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2024年05月10日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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