2023年12月04日

ビッグモーターの保険代理店登録取消-行政が取消処分に至った理由

保険研究部 常務取締役 研究理事 兼 ヘルスケアリサーチセンター長 松澤 登

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■要旨

関東財務局は2023年11月24日、ビッグモーター社(以下、BM)の保険代理店登録を取り消した(取消は11月30日付)。一般に不適正な販売が行われた場合には、業務改善命令・業務停止命令を発出し、改善が見込めないときに登録取消となると考えられる。この点、関東財務局の行政処分の理由を見ると以下のことが言える。
 
まず、BMでは取締役会すら開かれないという会社法で定める基本的なガバナンスが成立していないという点である。これは、業務改善を求めてもそれを実施する基盤がないことを意味する。
 
次に、BMには保険代理店として適正な保険募集を確保するための体制整備が求められるが、体制整備の不備という水準ではなく、体制整備を「放棄」しているという水準であり、体制整備を求める保険業法294条の3に違反していると言える。これは登録取消事由である「この法(=保険業法)に違反したとき」に該当する。
 
最後に、保険会社からの出向者は引き上げられ、全保険会社から委託契約を解除されるなど、再建のための支援が受けられる状況になく、業務改善は困難であるとする。
 
以上から、業務改善命令ではなく登録取消に至ったのであるが、これは「募集体制改善が見込めない」という価値判断があったと考えられ、登録取消はやむを得ないものと考えられる。

■目次

1――はじめに
2――保険代理店に対する規制
  1|保険代理店のコンプライアンス体制
  2|法で定められた体制整備義務
  3|体制整備義務違反へのペナルティ
3――行政処分の理由
  1|ガバナンス機能不全
  2|適正募集のための体制整備の不備
  3|適正募集のための体制再建の困難さ
4――おわりに
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保険研究部   常務取締役 研究理事 兼 ヘルスケアリサーチセンター長

松澤 登 (まつざわ のぼる)

研究・専門分野
保険業法・保険法|企業法務

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