2023年12月06日

リファラル採用が、じわり浸透中

総合政策研究部 主任研究員 小原 一隆

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■要旨
 
  1. 人手不足の折、中途採用が増加し、日本企業の中途採用率が増加している。人材獲得競争の激化でリファラル採用が注目され、優れた人材獲得と採用の効率化等が期待されている。
     
  2. 企業にとってリファラル採用は、費用対効果が高いこと、より優れた候補者が見込めること、採用プロセスの迅速化、そして定着率の向上等、メリットが多い、という特徴を持つ採用方法といえる。
     
  3. 既にリファラル採用を導入している企業や金融機関も存在する。採用者と紹介者の旧知の関係から生の声に触れられることもあり、企業、候補者双方にとって重要な情報が得られる。
     
  4. 米国でもリファラル採用は盛んである。採用に至った場合は紹介者に報酬を与えるのが通常である。彼我の法律に差があるため日本で導入する場合は労働関連法規の遵守に注意が必要だ。
     
  5. 注意すべき点としては、法令遵守に加えて、従業員エンゲージメントの向上、同質の社員が多くならぬよう手立てが必要。紹介者と候補者の関係にも留意が必要だが、業界や職務の特性次第。
     
  6. 将来的な労働力減少に備え、企業は働き手にとっての魅力向上に注力する必要がある。リファラル採用は高効率、低コスト、ミスマッチ回避に適しているが、導入可否を検討する際は十分にメリットとデメリットを検証すべきだ。


■目次

1――はじめに
2――リファラル採用とは何か
3――リファラル採用の導入を表明している企業
4――海外との比較
5――留意すべき点
  1|法令順守
  2|従業員エンゲージメント
  3|ダイバーシティ採用
  4|紹介者と候補者との関係性
6――おわりに
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総合政策研究部   主任研究員

小原 一隆 (こばら かずたか)

研究・専門分野
経済政策・人的資本

経歴
  • 【職歴】
     1996年 日本生命保険相互会社入社
          主に資産運用部門にて融資関連部署を歴任
         (海外プロジェクトファイナンス、国内企業向け貸付等)
     2022年 株式会社ニッセイ基礎研究所

    【加入団体等】
    ・公益社団法人日本証券アナリスト協会

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