2023年11月01日

ユーロ圏消費者物価(23年10月)-総合指数が前年比2%台まで低下

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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1.結果の概要:総合指数が前年比2%台まで低下

10月31日、欧州委員会統計局(Eurostat)は10月のユーロ圏のHICP(Harmonized Indices of Consumer Prices:EU基準の消費者物価指数)速報値を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【総合指数】
前年同月比は2.9%、市場予想1(3.1%)から下振れ、前月(4.3%)から低下した(図表1)
前月比は0.1%、予想(0.3%)より下振れ、前月(0.3%)から減速した

【総合指数からエネルギーと飲食料を除いた指数2
前年同月比は4.2%、予想(4.2%)と一致、前月(4.5%)から低下した(図表2)
前月比は0.2%、前月(0.2%)と一致した

(図表1)ユーロ圏のHICP上昇率/(図表2)ユーロ圏のHICP上昇率
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
2 日本の消費者物価指数のコアコアCPI、米国の消費者物価指数のコアCPIに相当するもの。ただし、ユーロ圏の指数はアルコール飲料も除いており、日本のコアコアCPIや米国のコアCPIとは若干定義が異なる。

2.結果の詳細:エネルギー価格が総合指数伸び率を大きく押し下げ

23年10月のHICP上昇率3(前年同月比)は全体で2.9%となり、9月の4.3%から大幅に低下、21年7月(2.2%)以来の2%台の伸び率となった。一方、「コア部分(=エネルギーと飲食料を除く総合)」は4.2%となり、9月の4.5%からの低下幅は限定的だった。

以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。

まず、コア部分である「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」が8月4.7%→9月4.1%→10月3.5%、「サービス」(エネルギーを除く)が8月5.5%→9月4.7%→10月4.6%となり、10月は財インフレの低下が進んだが、サービスインフレの低下は限定的だった。前年同月比寄与度は、「財」が0.85%ポイント程度、「サービス」が1.79%ポイント程度と見られる。

コア以外の部分では「エネルギー」が前年同月比で8月▲3.3%→9月▲4.6%→10月▲11.1%とマイナス幅が大幅に拡大した。前月比で▲1.1%と下落し、昨年10月がエネルギー価格のピークだったこともあり、前年比伸び率が押し下げられた。なお、水準では今年7月が直近のボトムとなっている(図表3)。エネルギーの前年同月比寄与度は▲1.73%ポイント程度(9月は▲0.55%ポイント)、でインフレ率の下落幅のうち1%ポイント以上がエネルギーの寄与と見られる(前掲図表1)。
(図表3)ユーロ圏のエネルギー価格水準/(図表4)ユーロ圏の飲食料価格の上昇率と内訳
「飲食料(アルコール含む)」は、前年同月比で7.5%(9月8.8%)と7か月連続で大幅に低下した(図表4)。飲食料のうち加工食品の伸び率は8.4%(9月9.4%)、未加工食品は4.5%(9月6.6%)となり、特に未加工食品上昇率の下落幅が大きかった。飲食料の前年同月比寄与度は1.62%ポイント程度(9月は1.78%ポイント)と見られる。

物価上昇の勢いをECBが公表する季節調整済系列で確認すると、3か月移動平均後の3か月前比年率で総合指数が4.5%、コアが3.2%、エネルギーを除く財が2.3%、サービスが3.8%、飲食料が4.2%となり、特に財価格の物価上昇の勢いが弱まっている。
(図表5)ユーロ圏HICP上昇率(前年同月比)/(図表6)ユーロ圏HICP上昇率(前月比)
国別のHICP上昇率は、前年同月比で20か国中、上昇したのは3か国で残りの17か国は低下した(図表5)。ベルギーとオランダは前年比マイナスとなりイタリアがECB物価目標の2%を下回った。前月比では13か国がプラスの伸び率、7か国はマイナスの伸び率となった(図表6)。
 
3 23年からはユーロ圏20か国のデータ、22年までは19か国のデータ(以降も特に断りがない限り同様)。
 
 

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

(2023年11月01日「経済・金融フラッシュ」)

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