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外国人人口や外国人比率は、前回ベースの約2倍に増加する見込み-新しい将来推計人口を読む(4) 外国人人口や外国人比率への影響

保険研究部 主席研究員・年金総合リサーチセンター 公的年金調査部長 兼任 中嶋 邦夫
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15歳未満を見ると(図表5上段)、図表2で示したように15歳未満の流入規模は中位の場合で2040年まで年1万人弱であるため、人口としては当面は大きな影響はないが、流入の中心である20代前半が子を持つ時期になってくると次第に影響が大きくなる。その結果、外国人人口は、2020年の22万人から、2040年には流入据置で35万人、中位推計で58万人、流入25万人で84万人に達し、外国人比率としては、2020年の1.5%から、2040年には流入据置で3%(約30人に1人)、中位推計で5%(20人に1人)、流入25万人で7%(14人に1人)になる。2120年には、外国人人口としては2040年より減少するが7、日本人で出生率の低下やその循環の影響で少子化が進むため、外国人比率としては、流入据置で5%(20人に1人)、中位推計で11%(9人に1人)、流入25万人で15%(7人に1人)に至る。
15~64歳を見ると(図表5下段)、流入の中心が20代前半であるため、推計期間の当初から影響が出てくる。その結果、外国人人口は、2020年の約230万人から、2040年には流入据置で320万人、中位推計で480万人、流入25万人で660万人に達し、外国人比率としては、2020年の3%から、2040年には流入据置で約5%(約20人に1人)、中位推計で8%(13人に1人)、流入25万人で10%(10人に1人)になる。2041年以降は流入数が総人口比で計算される影響で、流入据置で2053年の約340万人、中位推計で2068年の680万人、流入25万人で2069年の1040万人でピークを迎える。2120年には、流入据置で約190万人、中位推計で480万人、流入25万人で800万人に減少するが、日本人人口の減少により、外国人比率としては、流入据置で9%(約11人に1人)、中位推計で19%(5人に1人)、流入25万人で26%(4人に1人)まで上昇を続ける。
全年齢の合計では(図表6下段)、外国人人口は、2020年の約280万人から、2040年には流入据置で400万人、中位推計で590万人、流入25万人で790万人に達し、外国人比率としては、2020年の2%から、2040年には流入据置で約4%(約25人に1人)、中位推計で5%(20人に1人)、流入25万人で7%(10人に1人)になる。2041年以降は流入数が総人口比で計算される影響で、外国人人口としては、流入据置で2071年の約490万人、中位推計で2087年の1000万人、流入25万人で2092年の1560万人でピークを迎える。2120年には、流入据置で約350万人、中位推計で850万人、流入25万人で1390万人に減少するが、日本人人口の減少により、外国人比率としては、流入据置で8%(約13人に1人)、中位推計で17%(6人に1人)、流入25万人で24%(4人に1人)まで上昇を続ける。
7 15歳未満人口については、入国した外国人による出産の影響も考えられる。しかし、今回の推計の公表の場となった社会保障審議会人口部会(2023.4.26)では、来日する外国人は就学や就労のために滞在することや、自国での出生率が低い東アジアからの入国者が多いことが影響して、日本での外国人の出生率は低く、外国人の出産による影響はそれほど大きくないと説明された。同部会の資料2によると、2016~2020年の平均での日本人の合計特殊出生率が1.37だったのに対して、外国人では0.94にとどまっている。将来推計では、この0.94(固定値)を外国人の出生率として用いている。
4 ―― 総括:外国人人口や外国人比率は、長期的には前回ベースの約2倍に増加する見込み
- 今回の推計における海外からの人口流入の仮定は、近年の高水準を反映して、直近5年間の平均人数が20年間横ばいで続くと設定されている。この水準は前回推計の2倍を超えているが、コロナ禍前の入国増ペースが戻れば今回の仮定より上振れする可能性もある。
- 今回の推計では、海外からの人口流入の仮定を変えた8とおりの条件付推計が公開されており、諸外国には人口流入に3とおりの仮定を置いている国がある。そこで本稿では、今回の正式な仮定に、前回と同等の仮定と、今回の仮定から今回と前回の差の分だけさらに上振れする仮定を加えた、3とおりの推計結果について、外国人人口と外国人比率を確認した。
- 外国人人口は、いずれの年齢区分でも推計の最終年(2120年)には、前回と同等の仮定での結果(前回ベース)に比べて、今回の仮定では約2倍、さらに上振れする仮定では約4倍の水準に増える見通しとなっている8。ただし、2041年以降は総人口の減少にあわせて海外からの人口流入が減少する仮定になっているため、年齢区分によって時期は異なるものの推計期間の途中でピークを迎え、推計の最終年(2120年)に向けて緩やかに減少していく。
- 外国人比率は、日本人人口の減少に伴って、推計の最終年まで上昇が続く。
近年は、外国人人口の増加を考慮した生活環境や労働環境の整備が進められているが、前回ベースの約2倍となる今回の推計結果や、さらなる上振れの可能性を考慮すれば、一層の促進が必要となるだろう。また、日本人人口の減少に伴って外国人比率が上昇することを考慮すれば、社会のあり方全般を多様性を前提としたものに見直していく必要性も増すだろう。
8 外国人の入国超過数は、2040年までは定数だが、2041年以降は総人口に対する比率で仮定されている。このため2041年以降の入国超過数が多い仮定では、総人口に対する比率が高いことに加えて、総人口が多いことの影響で、入国超過数が多くなる。
(2023年05月18日「基礎研レポート」)

03-3512-1859
- 【職歴】
1995年 日本生命保険相互会社入社
2001年 日本経済研究センター(委託研究生)
2002年 ニッセイ基礎研究所(現在に至る)
(2007年 東洋大学大学院経済学研究科博士後期課程修了)
【社外委員等】
・厚生労働省 年金局 年金調査員 (2010~2011年度)
・参議院 厚生労働委員会調査室 客員調査員 (2011~2012年度)
・厚生労働省 ねんきん定期便・ねんきんネット・年金通帳等に関する検討会 委員 (2011年度)
・生命保険経営学会 編集委員 (2014年~)
・国家公務員共済組合連合会 資産運用委員会 委員 (2023年度~)
【加入団体等】
・生活経済学会、日本財政学会、ほか
・博士(経済学)
中嶋 邦夫のレポート
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