2023年04月28日

中国経済の現状と今後の注目点-「ゼロコロナ後の消費回復力」、「不動産関連の成長回復力」、「生成AIとIT企業の発展牽引力」の3点に注目!

三尾 幸吉郎

文字サイズ

■要旨
 
  1. 第1四半期(1-3月期)の経済成長率は実質で前年同期比4.5%増と政府目標「5%前後」に届かなかったものの、昨年第4四半期と比べると季節調整後の前期比で2.2%増(年率換算+9.1%前後)と急回復した(下左図)。但し、設備稼働率の水準はまだ低く、若年労働者の失業率が高止まりするなど、経済活動の水準は依然として低い。他方、第1四半期の消費者物価(CPI)は前年同期比1.6%上昇と、政府目標「3.0%前後」を下回る水準で推移していた。
     
  2. 需要項目別の寄与度を見ると、第1四半期の最終消費はGDP成長率に3%ポイントのプラス寄与となった。特に飲食が急回復した。総資本形成(≒投資)は1.6%ポイントのプラス寄与となった。その牽引役は国有・国有持ち株企業で、民間企業の投資活動は依然として鈍く、盛り上がりに欠ける。純輸出は0.1%ポイントと小幅なマイナス寄与となった。3月には輸出が急回復し輸入もマイナス幅を縮めたが、欧米経済には不安がくすぶり先行きは楽観できない。
     
  3. 産業動向を見ると(下右表)、第3次産業がGDP全体の成長率を押し上げた。特に「宿泊飲食業」は前年同期比13.6%増と急回復した。「情報通信・ソフトウェア・IT」も2桁の伸びを示し、成長の勢いを徐々に取り戻しつつある。但し、同じ第3次産業でも「不動産業」は同1.3%増とプラス成長には転じたものの、低い伸びにとどまった。なお、第2次産業では「製造業」が前四半期から持ち直したものの、「建築業」はやや鈍化した。
     
  4. 今後の注目点としては、「ゼロコロナ後の消費回復力」、「不動産関連の成長回復力」、「生成AIとIT企業の発展牽引力」の3点が挙げられる(詳細は本文参照)。

 
中国の国内総生産(GDP)/産業別の実質成長率(前年同期比)
■目次

1. 中国経済の概況
2. 需要の動向
3. 産業の動向
4. 今後の注目点
  1|ゼロコロナ後の消費回復力
  2|不動産関連の成長回復力
  3|生成AIとIT企業の発展牽引力
Xでシェアする Facebookでシェアする

三尾 幸吉郎

研究・専門分野

公式SNSアカウント

新着レポートを随時お届け!
日々の情報収集にぜひご活用ください。

週間アクセスランキング

レポート紹介

【中国経済の現状と今後の注目点-「ゼロコロナ後の消費回復力」、「不動産関連の成長回復力」、「生成AIとIT企業の発展牽引力」の3点に注目!】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

中国経済の現状と今後の注目点-「ゼロコロナ後の消費回復力」、「不動産関連の成長回復力」、「生成AIとIT企業の発展牽引力」の3点に注目!のレポート Topへ