2023年04月17日

米国銀行の破綻と年金積立金の関係などが年金ツイートの契機に-「年金」を含むツイートの投稿契機 (2023年3月)

保険研究部 上席研究員・年金総合リサーチセンター 公的年金調査室長 兼任 中嶋 邦夫

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4 ―― 単独で投稿されたツイート:Webページやツイートを契機とする投稿と概ね連動

図表6の橙色の線は、単独で投稿された(ツイートやWebページを明示的な投稿契機としていない)年金ツイートの、投稿日別の投稿者数の推移である。

これを見ると、単独で投稿された年金ツイートの投稿者数は、ツイートを投稿契機とした投稿者数と概ね連動している。返信や引用の形式をとらずURLの記載もないものの、話題になっているツイートを見て、それに対するコメントなど(いわゆるエアリプ)が投稿された可能性が考えられる。
図表6 投稿契機区分別に見た年金ツイートの投稿者数

5 ―― 総括

5 ―― 総括:米国銀行の破綻と年金積立金の関係に加え、テレビの街頭インタビューも投稿契機に

分析対象となった年金ツイートでは、次のような傾向が観察された。
 
  • 2023年3月に投稿された年金ツイートは約13万件で、同月は年金を巡る大きな話題がなかった月と言える6
     
  • ツイートを投稿契機としたものとWebページを投稿契機としたものの双方で、米国銀行の破綻と年金積立金の関係が多くの投稿者の投稿契機となっていた。ただし、ツイートを投稿契機としたものとWebページを投稿契機としたものとで、投稿契機となった記事は異なっていた。
     
  • これ以外に、ツイートを投稿契機とした年金ツイートでは、テレビ番組の街頭インタビューで高齢者が子育て支援策に批判的な意見を述べたことを紹介するツイートが、多くの投稿者の投稿契機となった。
     
  • また、Webページを投稿契機とした年金ツイートでは、国会議員の保険料未納疑惑に関する記事も、多くの投稿者の投稿契機となった。
 
ツイートを投稿契機とした年金ツイートとWebページを投稿契機とした年金ツイートの双方で同じ話題が主な投稿契機になった点は、年金改革案が話題になり年金ツイートの投稿数が多かった2022年9月下旬~10月7と同じ傾向であった。年金改革案ほど多くのツイートが投稿された訳ではないが、公的年金の積立金は人々の関心が高い話題の1つと考えられる。

また、ツイートを投稿契機とした年金ツイートで、テレビ番組の内容を紹介するツイートが投稿契機になったのは2022年11月8や12月9、2023年1月10と同じ傾向で、特に高齢者の街頭インタビューの内容が契機になったのは2023年1月と同じ傾向である。特に今回は、テレビ番組を直接紹介したツイートではなく、そのツイートにコメントを付けてさらに紹介したツイートが投稿契機になった点が、特徴的だった11

積立金は公的年金の財源の1割程度に過ぎず、Twitterで紹介された高齢者の声は全高齢者の意見や番組内容の一部に過ぎない。Twitterで投稿契機となった内容やその反響に注目することで、全体像の把握や世代間の相互理解に必要な情報を考える手がかりになるだろう。
 
 
6 2022年以降の状況を見ると、年金を巡る大きな話題がなかった月は13万件程度、大きな話題があった月は20万件程度である。
7 拙稿「2020年に公表されていた厚労省の試算が年金ツイートの契機に-「年金」を含むツイートの投稿契機 (2022年9月下旬~10月)」
8 拙稿「負担感や世代間格差に関する記事や画像が年金ツイートの契機に-「年金」を含むツイートの投稿契機 (2022年11月)」
9 拙稿「2022年10月に話題になった改革案や園児の募金が年金ツイートの契機に-「年金」を含むツイートの投稿契機 (2022年12月)」
10 拙稿「国会議員の年金保険料未納疑惑や受給開始年齢が年金ツイートの契機に-「年金」を含むツイートの投稿契機 (2023年1月)
11 テレビ番組を直接紹介したツイートに対しては、取り上げられた高齢者の主張に関する返信のほか、報道のあり方に関する返信も見られた。これに対して、そのツイートにコメントを付けてさらに紹介したツイートに対する返信には、取り上げられた高齢者の主張に関する返信が大半であった。
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保険研究部   上席研究員・年金総合リサーチセンター 公的年金調査室長 兼任

中嶋 邦夫 (なかしま くにお)

研究・専門分野
公的年金財政、年金制度全般、家計貯蓄行動

経歴
  • 【職歴】
     1995年 日本生命保険相互会社入社
     2001年 日本経済研究センター(委託研究生)
     2002年 ニッセイ基礎研究所(現在に至る)
    (2007年 東洋大学大学院経済学研究科博士後期課程修了)

    【社外委員等】
     ・厚生労働省 年金局 年金調査員 (2010~2011年度)
     ・参議院 厚生労働委員会調査室 客員調査員 (2011~2012年度)
     ・厚生労働省 ねんきん定期便・ねんきんネット・年金通帳等に関する検討会 委員 (2011年度)
     ・生命保険経営学会 編集委員 (2014年~)
     ・国家公務員共済組合連合会 資産運用委員会 委員 (2023年度~)

    【加入団体等】
     ・生活経済学会、日本財政学会、ほか
     ・博士(経済学)

(2023年04月17日「基礎研レポート」)

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