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- 中国経済:景気指標の総点検(2023年春季号)-1-3月期の成長率は4%を超える可能性
1. 中国経済の概況
この1年を振り返ると(図表-1)、第1四半期(1-3月期)には新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の新規感染が少なかったこともあって、前年同期比4.8%増と政府目標をやや下回ったものの堅調だった。しかし、第2四半期(4-6月期)には新規感染が急増し死亡者も多くでて上海市などで事実上のロックダウン(都市封鎖)を実施したことなどから、同0.4%増と政府目標を大きく下回った。第3四半期(7-9月期)には新規感染が減り死亡者もゼロだったが、党大会(開幕は10月16日)が間近に迫る中で、中国政府がちょっとした感染に対しても厳格な防疫管理を行なう「ゼロコロナ政策」をとったため、同3.9%増と緩やかな回復にとどまった。第4四半期(10-12月期)に入り、10月に党大会を終えた中国では11月11日に「20条措置」を発表しゼロコロナ政策を緩和し始めた(図表-2)。しかし、その方針が地方政府に十分徹底されなかったため抗議活動が起こるなど混乱を招き、経済活動はさらに落ち込んだ。12月7日に改めて「10条措置」を発表した上で、孫春欄副首相が前面に出て防疫緩和を徹底したことで、中国政府が断固としてウィズコロナ政策に移行する方針であることが、ようやく地方政府に徹底されたものの、全国各地で感染爆発が起きるのは避けられず、中国経済は失速し、実質成長率は前年同期比2.9%増にとどまった。
2. 供給面の3指標
非製造業PMI(非製造業商務活動指数)を見ても(図表-7)、23年1月は54.4%、2月は56.3%と、昨年12月に付けた41.6%をボトムに上昇に転じ、拡張・収縮の境界線となる50%を2ヵ月連続で上回った。予測指数も昨年11月に付けた54.1%をボトムに持ち直し、23年に入ると1月、2月ともに64.9%と、コロナ前(2019年)のレベルを上回る高水準となった。製造業だけでなく非製造業においても、将来に対する不安は解消に向いつつあるようだ。
3. 需要面の3指標
輸出(ドルベース)の状況を見ると(図表-11)、23年1-2月期は前年同期比6.8%減と昨年12月の同10.0%減をマイナスながらも上回った。但し、欧米など輸出先の景気には大きな懸念がある。
1 中国では、統計方法の改定時に新基準で計測した過去の数値を公表しない場合が多く、また1月からの年度累計で公表される統計も多い。本稿では、四半期毎の伸びを見るためなどの目的で、中国国家統計局などが公表したデータを元に推定した数値を掲載している。またその場合には“(推定)”と付して公表された数値と区別している。
4. その他の4指標と景気の総括
需要面の指標を見ると、内需関連の小売売上高と固定資産投資はここ数ヵ月“○”と“✖”が交互に出現する一進一退の状態にある。外需関連の輸出は7ヵ月ぶりに“○”に転じた。今後の輸出は“○”が続くのか、それとも直ぐに“✖”に戻ってしまうか注目される。
供給面の指標を見ると、鉱工業生産、製造業PMI、非製造業PMIがともに2ヵ月連続で“〇”となった。昨年12月までこの3指標はいずれも“✖”が目立つ状況だったが、改善の兆しである。
その他の指標を見ると、電力消費量は3ヵ月連続の“〇”となった。昨年9月から11月にかけては前年比1%前後の伸びにとどまり“✖”だったが、ようやく改善の兆しがでてきた(図表-13)。道路貨物輸送量は前述の通り23年1月、2月の統計が未発表で不明である。但し、入港船舶数を見ると(図表-14)、1月は前年を下回ったものの、2月以降は上回っていることから、今年2月か3月には“〇”に転じる可能性がある。工業生産者出荷価格(PPI)は3ヵ月連続で“✖”となった(2ページの図表-3)。但し、原材料価格が23年2月に前月比0.7%高と底打ちしてきたので、それが加工工業に波及する可能性もあるため、今後の動向を注視したい。通貨供給量(M2)は2ヵ月連続で“〇”となった。昨年秋以降は“○”と“✖”が交互に出現する一進一退の状態だったが、年明けとともに増加傾向が明らかとなってきた(図表-15)。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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三尾 幸吉郎
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(2023年03月24日「Weekly エコノミスト・レター」)
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