コラム
2023年03月08日

海外投資家は2カ月連続の買い越し~2023年2月投資部門別売買動向~

金融研究部 研究員 森下 千鶴

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2023年2月は、米国の金融引締めについて早期停止期待と長期化懸念が交錯するなか、日経平均株価は月を通じて狭いレンジで揉み合いとなった。月初は、2月1日の米FOMCを受け米国株が上昇し、それを好感し日経平均株価も上昇した。6日には2万7,693円まで上昇したが、その後は米経済指標が予想を上回ったことから米インフレの高止まりが警戒され、中旬にかけて上値の重い展開が続いた。下旬は、引き続き米金融引締めの長期化懸念から、22日に一旦2万7,104円まで下落した。ただ、24日の植田次期日銀総裁候補の国会所信聴取を受け、日本の金融緩和政策に対する安心感が広がり日経平均株価は上昇し、2万7,445円で終えた。2月の日経平均株価は月を通じて小幅な上昇となる中、海外投資家、事業法人が買い越す一方で、信託銀行、投資信託、個人が売り越した。
図表1 主な投資部門別売買動向と日経平均株価の推移
2023年2月(1月30日~2月24日)の主な投資部門別の売買動向は、海外投資家が現物と先物の合計で1兆2,757億円の買い越しと、最大の買い越し部門であった。週間では、1月第3週から2月第3週まで6週連続の買い越しとなった。2月は米金融引締めの長期化懸念によって為替市場で急激に円安が進行して日本株が安くなったことを海外投資家が好感したと思われる。
図表2 海外投資家は6週連続買い越し
海外投資家は年初から2カ月連続の買い越しとなっているが、3月も引き続き買われるのだろうか。過去の傾向を確認したところ、3月は売り越されるという季節性があるようだ。図表3の2017年から2021年の海外投資家の月別の平均売買動向を集計したものをみると、海外投資家は3月に最も大きく売り越す傾向があることが分かる。
図表3 海外投資家の月別平均売買動向
また、2月は自社株買いが買いの中心である事業法人も3,281億円の買い越しだった。その一方で信託銀行は、現物と先物の合計で7,427億円の売り越しと2月最大の売り越し部門であった。さらに、投資信託も4,499億円の売り越し、個人も1,327億円の売り越しであった。事業法人以外の主要国内投資家は、2カ月連続で日経平均株価が上昇し高値圏を維持する中、2月も1月同様に利益確定の売りが膨らんだようだ。週別では2月第2週(2月6日~10日)に3部門合わせて5,841億円も売り越しており、日経平均株価が、2月中旬に上値が重くなった一因と推測される。
図表4 事業法人以外の主要国内投資家は売り越し
 
 

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金融研究部   研究員

森下 千鶴 (もりした ちづる)

研究・専門分野
株式市場・資産運用

経歴
  • 【職歴】
     2006年 資産運用会社にトレーダーとして入社
     2015年 ニッセイ基礎研究所入社
     2020年4月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会検定会員
     ・早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)

(2023年03月08日「研究員の眼」)

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