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オフィス市場の調整は小休止。ホテル市場はコロナ前を回復-不動産クォータリー・レビュー2022年第4四半期
基礎研REPORT(冊子版)3月号[vol.312]

金融研究部 主任研究員 佐久間 誠
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オフィスセクターの調整は小休止した。東京23区のマンション賃料は、コロナ禍における調整局面を脱している。ホテル市場はコロナ禍前の水準を回復した。物流賃貸市場は、首都圏の空室率が上昇した一方、近畿圏の空室率は横ばいとなった。
1―経済動向と住宅市場
ニッセイ基礎研究所は、2月に経済見通しの改定を行った。実質GDP成長率は2022年度+1.3%、2023年度+1.0%、2024年度+1.6%を予想する。実質GDPが直近のピーク(2019年7-9月期)を上回るのは、2024年4-6月期になると予想するが、金融引き締めに伴う欧米の景気後退や中国経済への懸念、冬場の電力不足による経済活動の制限など下振れリスクの高い状態が続く見通しである。
住宅市場では、マンション等の販売状況がやや弱含むなか、価格の上昇ペースが鈍化している。2022年10-12月の首都圏のマンション新規発売戸数は11,391戸(前年同期比▲19.5%)となった。2022年の販売戸数は29,569戸( 前年比▲12.1%)となり、2021年(33,636戸)を下回った。
2021年10-12月の首都圏の中古マンション成約件数は8,704件(前年同期比▲10.6%)となった[図表1]。2022年の成約件数は35,429件(前年比▲11.0%)と2021年の39,812件から減少した。成約件数が減少し在庫戸数が11カ月連続で前年同月を上回るなか、取引価格は1桁の上昇率まで鈍化している。
2―地価動向
3―不動産サブセクターの動向
商業セクターは、百貨店を中心に売上が回復している。商業動態統計などによると、2022年10-12月の小売販売額(既存店、前年同期比)は百貨店が+6.0%、コンビニエンスストアが+5.9%、スーパーが+2.3%となった。
ホテルセクターは、全国旅行支援や水際対策緩和を背景に宿泊需要が順調に回復している。宿泊旅行統計調査によると、2022年10-12月累計の延べ宿泊者数は2019年対比で▲6.4%減少し、このうち日本人が+6.1%、外国人が▲58.4%となった[図表5]。12月の延べ宿泊者数は2019年対比で▲0.2%、うち日本人が+8.3%、外国人が▲35.4%と、宿泊者数はコロナ禍前の水準を回復した。
4―J -REIT(不動産投信)市場
2022年のJ-REIT市場を振り返ると、東証REIT指数は▲8.3%下落し、国内株式の下落率(▲5.1%)を上回った銘柄数は61社で変わらず、時価総額は15.8兆円(前年比▲7%)に減少、運用資産額(取得額ベース)は21.9兆円(前年比+3%)で伸び率が鈍化するなど、規模の拡大は一服となった。一方、市場ファンダメンタルズは、市場全体の予想1口当たり分配金が前年比+2%となり、コロナ禍で落ち込んだ水準から回復基調にあり、1口当たりNAV(Net Asset Value、解散価値)も前年比+5%と高い伸びを確保した。
(2023年03月07日「基礎研マンスリー」)
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- 【職歴】 2006年4月 住友信託銀行(現 三井住友信託銀行) 2013年10月 国際石油開発帝石(現 INPEX) 2015年9月 ニッセイ基礎研究所 2019年1月 ラサール不動産投資顧問 2020年5月 ニッセイ基礎研究所 2022年7月より現職 【加入団体等】 ・一般社団法人不動産証券化協会認定マスター ・日本証券アナリスト協会検定会員
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