2022年12月28日

気候変動指数の地点拡大-日本版の気候指数を拡張してみると…

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也

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(10) 浜田
浜田
浜田の合成指数は、2011年に1、2019年に1.5を超えて上昇しており、2022年夏季には1.83となっている。高温が2021年に1.5を超えるとともに、海面水位が2022年に4に達しており、合成指数上昇の要因となっている。

(11) 彦根
彦根
彦根の合成指数は、2000年代は0.5未満で推移していたが、2010年代以降徐々に上昇し、2020年に1に達した。2022年夏季には1.03となっている。特に、高温の指数は上昇を続けており、2に迫る水準となっている。

(12) 多度津
多度津
多度津の合成指数は、2000年代以降0.5前後で推移してきたが、近年は上昇傾向となっており、1に迫りつつある。2022年夏季には0.85となっている。特に高温の指数は1.5を超える水準となっており、合成指数上昇の要因となっている。

(13) 宮崎
宮崎
宮崎の合成指数は、2000年代に低下して2011年にはゼロ近辺で推移した。その後、徐々に上昇し、2022年夏季には0.70となっている。高温と降水の指数も合成指数と同じような動きをしている。他の観測地点に比べると気候変動の極端さの進行は緩やかと見ることができる。

(14) 名瀬
名瀬
名瀬の合成指数は、2000年代以降0.5未満で推移してきた。2010年代後半よりやや上昇したものの低水準にとどまっている。2022年夏季には0.47となっている。高温の指数が1を超える時期もあったが、近年は0.5近辺に低下した。降水の指数は、長らくゼロ近辺で推移している。他の観測地点に比べると気候変動の極端さの進行は緩やかと見ることができる。

(15) 石垣島
石垣島
石垣島の合成指数は、2000年代には0.5前後で推移し、その後上昇して2017年には1を超えた。2022年夏季には1.31となっている。特に高温の指数が大きく上昇し、2010年代後半には2.5に迫る時期もあった。海面水位の指数も上昇傾向にあり、1.5を超えて推移している。
《気候指数計算結果のグラフ (図表4~32) に関する注記》
本稿において、気候指数の計算にあたり、最高気温や最低気温のデータが空欄となっている日については、前後の日のデータの平均とみなした。また、その他のデータが空欄となっている場合には、計算上、分子・分母から除外した。

気象データで1971年1月1日~2022年8月31日の期間にデータが空欄となっていた日数、および潮位データで1971年1月~2022年8月の期間にデータが空欄となっていた月数をまとめると、次表の通りとなる。
図表33. データが空欄となっていた日数・月数
なお、気象データのうち、最高気温、最低気温、平均風速について、観測地点によっては観測方法の変更(観測場所の移転、観測装置の変更、観測の時間間隔の変更)により、前後のデータが均質でないケースがある。変更が行われた年をまとめると、次表の通りとなる。
図表34. 気象データで観測方法の変更が行われた年 (前後のデータが均質でないもの)

【参考文献・資料】

  1. 「一般気象学〔第2版補訂版〕」小倉義光著(東京大学出版会, 2016年)
  2. 「絵でわかる地球温暖化」渡部雅浩著(講談社, 2018年)
  3. 「よくわかる高校地理総合 (MY BEST)」松永謙監修(学研プラス, 2022年)
  4. 「気候変動監視レポート2021」(気象庁, 令和4年3月)
    https://www.jma.go.jp/jma/press/2203/29a/ccmr2021.html
  5. 「過去の気象データ・ダウンロード」(気象庁HP)
    https://www.data.jma.go.jp/risk/obsdl/index.php
  6. 「歴史的潮位資料+近年の潮位資料」(気象庁HP)
    https://www.data.jma.go.jp/kaiyou/db/tide/sea_lev_var/sea_lev_var_his.php
  7. 「過去の気象データ検索」(気象庁HP)
    https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index

(前回のレポート)
  1. 気候変動指数化の海外事例-日本版の気候指数を試しに作成してみると…」篠原拓也(基礎研レポート, ニッセイ基礎研究所, 2022年9月8日)
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保険研究部   主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員

篠原 拓也 (しのはら たくや)

研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務

経歴
  • 【職歴】
     1992年 日本生命保険相互会社入社
     2014年 ニッセイ基礎研究所へ

    【加入団体等】
     ・日本アクチュアリー会 正会員

(2022年12月28日「基礎研レポート」)

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