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- 1ドル140円割れ、円安トレンドはとうとう終わったか?~マーケット・カルテ12月号
2022年11月18日
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米CPIは明確に伸びが鈍化したが、それが持続性を伴っているかという点はまだ判然としない。伸び率も未だ極めて高い水準にあり、FRBも利上げスタンスを大きく後退させるには時期尚早との判断を維持している可能性が高い。利上げ鈍化への市場の期待感が先行しているとみられるため、年末にかけてはその修正が入ることでドルが一旦やや持ち直す可能性が高い。しかし、その後は既往の利上げ効果などにより米物価上昇圧力の緩和を示すデータが徐々に増え、利上げの終わりが現実味を増すことでドル売りが優勢となり、円高トレンドに入るだろう。いわゆる「行って来い」の形となり、3カ月後は現状比ほぼ横ばいの1ドル140円弱と予想している。
ただし、仮に米物価上昇圧力が予想外に根強い場合は、FRBも利上げを長期化せざるを得なくなるため、再び150円を試す可能性もまだ排除はできない。
1ユーロ146円台で始まった今月のユーロ円でもやや円高が進行し、足元は145円付近で推移している。市場の注目がドルに集まる中、ユーロ円は手がかりを欠いたが、米CPI発表後の対ドルでの円高圧力がユーロ円にも波及した形になっている。今後もユーロ円の方向感は出にくい。ECBの利上げ継続がユーロの支援材料となるものの、インフレと利上げによる欧州経済の後退によって相殺されやすいためだ。3カ月後の水準は144円台と予想している。
長期金利は月初0.25%付近での膠着した推移が続いたが、米CPI下振れを受けた米長期金利の低下が波及し、足元では0.25%を若干下回る水準にある。足元の米長期金利は利上げ鈍化期待をかなり織り込んでいるとみられ、当面さらなる低下は見込みづらい。また、総裁人事を巡り、日銀金融政策に対する修正の思惑が燻ることも本邦長期金利を下支えるだろう。3カ月後も現状比横ばい圏と見ている。
(執筆時点:2022/11/18)
(2022年11月18日「基礎研マンスリー」)
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03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
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