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2022年10月27日
5――おわりに
本稿では、定年直前と定年直後の人を対象とした独自のアンケート調査を用いて、定年後の働き方の違いの幸福度への影響を捉えることを試みた分析結果を紹介した。定年後の回答者が、定年前に現在の定年後の働き方を予定しており、定年前の回答者と同様の幸福度であったと仮定した場合、本稿で紹介した分析結果からは、会社員は定年を迎えることで幸福度が高まる可能性や、公務員は定年後に働かないと幸福度が高まる可能性が示唆される。このことは、定年延長や定年の撤廃は、現在の状況では、必ずしも個々人の幸せにつながるわけではないという示唆につながるかもしれない。
しかし、今回分析に利用したデータはクロスセクションデータであり、本稿での仮定は当てはまらない可能性がある点に、留意が必要である。定年を迎えた直後の人が数年前に考えていた定年後の働き方の予定は、現在の働き方と同じであったとは限らない。現在定年を迎えた直後の人はコロナ禍で本来の予定とは異なる働き方を選ぶ決断をした可能性も考えられる。さらに、定年を迎えた人の定年前の幸福度の分布が、現在定年前の回答者の分布と同様であったとは限らない。加えて、本調査は調査会社のモニター会員に協力頂いたもので、定年を迎えた回答者は定年を迎える前の回答者に比べて特に働くことへの意識が強いなど、一般的な日本全体の分布とは異なる可能性がある。他にも、定年後の働き方の幸福度への長期的な影響については、本稿の分析では捉えることができない。こうした状況から、定年後の働き方の幸福度への影響をより厳密に捉えるには、今後の継続的な調査を通した分析が必要とされるだろう。
しかし、今回分析に利用したデータはクロスセクションデータであり、本稿での仮定は当てはまらない可能性がある点に、留意が必要である。定年を迎えた直後の人が数年前に考えていた定年後の働き方の予定は、現在の働き方と同じであったとは限らない。現在定年を迎えた直後の人はコロナ禍で本来の予定とは異なる働き方を選ぶ決断をした可能性も考えられる。さらに、定年を迎えた人の定年前の幸福度の分布が、現在定年前の回答者の分布と同様であったとは限らない。加えて、本調査は調査会社のモニター会員に協力頂いたもので、定年を迎えた回答者は定年を迎える前の回答者に比べて特に働くことへの意識が強いなど、一般的な日本全体の分布とは異なる可能性がある。他にも、定年後の働き方の幸福度への長期的な影響については、本稿の分析では捉えることができない。こうした状況から、定年後の働き方の幸福度への影響をより厳密に捉えるには、今後の継続的な調査を通した分析が必要とされるだろう。
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経歴
- 【職歴】
2010年 株式会社 三井住友銀行
2015年 独立行政法人日本学術振興会 特別研究員
2018年 ニッセイ基礎研究所 研究員
2021年7月より現職
【加入団体等】
日本経済学会、行動経済学会、人間の安全保障学会
博士(国際貢献、東京大学)
2022年 東北学院大学非常勤講師
2020年 茨城大学非常勤講師
(2022年10月27日「基礎研レポート」)
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