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- 2022年4-6月期の実質GDP~前期比0.8%(年率3.2%)を予測~
2022年07月29日
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● 4-6月期は年率3.2%を予測~2四半期ぶりのプラス成長
2022年4-6月期の実質GDPは、前期比0.8%(前期比年率3.2%)と2四半期ぶりのプラス成長になったと推計される1。
まん延防止等重点措置の終了を受けて、外食、宿泊などの対面型サービスを中心に民間消費が前期比1.4%の高い伸びとなったことが、プラス成長の主因である。高水準の企業収益を背景に設備投資が前期比1.2%と2四半期ぶりに増加したことも成長率を押し上げた。また、1-3月期に成長率を大きく押し下げた外需は、輸出の伸び(前期比1.4%)が輸入の伸び(同0.3%)を上回ったことから、前期比・寄与度0.2%(年率0.8%)と成長率を押し上げた。
実質GDP成長率への寄与度(前期比)は、国内需要が0.6%(うち民需0.5%、公需0.1%)、外需が0.2%と予測する。
名目GDPは前期比0.1%(前期比年率0.5%)と2四半期連続で増加するが、実質の伸びを大きく下回るだろう。GDPデフレーターは前期比▲0.7%(1-3月期:同0.3%)、前年比▲1.4%(1-3月期:同▲0.5%)と予測する。輸入物価の上昇を国内に価格転嫁する動きが広がり、国内需要デフレーターは前期比0.5%の上昇(1-3月期:同0.8%)となったが、国際商品市況の高騰や円安の影響で輸入デフレーターが前期比10.9%の高い伸びとなり、輸出デフレーターの伸び(前期比6.5%)を上回ったことがGDPデフレーターを押し下げた。
まん延防止等重点措置の終了を受けて、外食、宿泊などの対面型サービスを中心に民間消費が前期比1.4%の高い伸びとなったことが、プラス成長の主因である。高水準の企業収益を背景に設備投資が前期比1.2%と2四半期ぶりに増加したことも成長率を押し上げた。また、1-3月期に成長率を大きく押し下げた外需は、輸出の伸び(前期比1.4%)が輸入の伸び(同0.3%)を上回ったことから、前期比・寄与度0.2%(年率0.8%)と成長率を押し上げた。
実質GDP成長率への寄与度(前期比)は、国内需要が0.6%(うち民需0.5%、公需0.1%)、外需が0.2%と予測する。
名目GDPは前期比0.1%(前期比年率0.5%)と2四半期連続で増加するが、実質の伸びを大きく下回るだろう。GDPデフレーターは前期比▲0.7%(1-3月期:同0.3%)、前年比▲1.4%(1-3月期:同▲0.5%)と予測する。輸入物価の上昇を国内に価格転嫁する動きが広がり、国内需要デフレーターは前期比0.5%の上昇(1-3月期:同0.8%)となったが、国際商品市況の高騰や円安の影響で輸入デフレーターが前期比10.9%の高い伸びとなり、輸出デフレーターの伸び(前期比6.5%)を上回ったことがGDPデフレーターを押し下げた。

この結果、実質GDPに交易利得を加えた実質GDIは、実質GDPの伸びを大きく下回り、前期比▲0.1%(前期比年率▲0.5%)のマイナス成長となることが予想される。
2022年4-6月期が明確なプラス成長となったことにより、実質GDPはようやくコロナ前(2019年10-12月期)の水準を回復したとみられる。ただし、日本は消費税率引き上げの影響で2019年10-12月期に前期比年率▲10.9%の大幅マイナス成長となっており、新型コロナウイルス感染症の影響が顕在化する前に経済活動の水準が大きく落ち込んでいた。直近のピークである2019年4-6月期と比較すると、2022年4-6月期の実質GDPは▲2.6%低くなることが見込まれる。経済活動の正常化までにはかなりの距離があるといえるだろう。
7月に入ってから新型コロナウイルスの新規陽性者数は急増しているが、政府は今のところ特別な行動制限を課していない。物価高による家計の実質購買力低下が下押し要因となるものの、行動制限がなければ消費性向の引き上げによって個人消費の回復基調は維持されるだろう。米国をはじめとして海外経済が減速しているため、輸出が景気の牽引役となることは当面期待できないが、民間消費を中心とした国内需要の増加を主因として7-9月期もプラス成長となることが予想される。
1 7/29までに公表された経済指標をもとに予測している。今後公表される経済指標の結果によって予測値を修正する可能性がある。
● 主な需要項目の動向
・民間消費~対面型サービスを中心に高い伸び~
民間消費は前期比1.4%と3四半期連続の増加を予測する。供給制約の影響で自動車販売台数は低迷が続いたものの、まん延防止等重点措置の終了を受けて、外食、宿泊などの対面型サービス消費が大幅に増加した。
民間消費は前期比1.4%と3四半期連続の増加を予測する。供給制約の影響で自動車販売台数は低迷が続いたものの、まん延防止等重点措置の終了を受けて、外食、宿泊などの対面型サービス消費が大幅に増加した。
・住宅投資~木材価格の高騰が下押し要因に~
住宅投資は前期比▲1.8%と4四半期連続の減少を予測する。
住宅投資は前期比▲1.8%と4四半期連続の減少を予測する。
・民間設備投資~2四半期ぶりの増加~
民間設備投資は前期比1.2%と2四半期ぶりの増加を予測する。
設備投資の一致指標である投資財出荷指数(除く輸送機械)は2022年1-3月期の前期比▲0.1%の後、4-6月期は同1.7%となった。また、機械投資の先行指標である機械受注(船舶・電力を除く民需)は2022年1-3月期に前期比▲3.6%と4四半期ぶりに減少した後、4、5月の平均は1-3月期を8.6%上回っている。
日銀短観2022年6月調査では、2021年度の設備投資計画(全規模・全産業、含むソフトウェア投資、除く土地投資額)が、2022年3月調査から▲4.8%下方修正され、前年度比0.4%となった。一方、2022年度計画は2022年3月調査から6.5%上方修正され、前年度比15.5%の高い伸びとなった。
設備投資は、高水準の企業収益を背景に、人手不足対応やテレワーク関連投資、デジタル化に向けたソフトウェア投資を中心に持ち直しの動きが続いている。
民間設備投資は前期比1.2%と2四半期ぶりの増加を予測する。
設備投資の一致指標である投資財出荷指数(除く輸送機械)は2022年1-3月期の前期比▲0.1%の後、4-6月期は同1.7%となった。また、機械投資の先行指標である機械受注(船舶・電力を除く民需)は2022年1-3月期に前期比▲3.6%と4四半期ぶりに減少した後、4、5月の平均は1-3月期を8.6%上回っている。
日銀短観2022年6月調査では、2021年度の設備投資計画(全規模・全産業、含むソフトウェア投資、除く土地投資額)が、2022年3月調査から▲4.8%下方修正され、前年度比0.4%となった。一方、2022年度計画は2022年3月調査から6.5%上方修正され、前年度比15.5%の高い伸びとなった。
設備投資は、高水準の企業収益を背景に、人手不足対応やテレワーク関連投資、デジタル化に向けたソフトウェア投資を中心に持ち直しの動きが続いている。
・公的固定資本形成~6四半期ぶりの増加~
公的固定資本形成は前期比2.2%と6四半期ぶりの増加を予測する。
公的固定資本形成は前期比2.2%と6四半期ぶりの増加を予測する。
・外需~2四半期ぶりのプラス~
外需寄与度は前期比0.2%(前期比年率0.8%)と2四半期ぶりのプラスを予測する。財貨・サービスの輸出が前期比1.4%の増加となる一方、ワクチン購入の減少などから、財貨・サービスの輸入が前期比0.3%の低い伸びにとどまったことから、外需は成長率の押し上げ要因となった。
外需寄与度は前期比0.2%(前期比年率0.8%)と2四半期ぶりのプラスを予測する。財貨・サービスの輸出が前期比1.4%の増加となる一方、ワクチン購入の減少などから、財貨・サービスの輸入が前期比0.3%の低い伸びにとどまったことから、外需は成長率の押し上げ要因となった。

欧米向けの輸出は堅調を維持しているが、ロックダウンの影響で大きく落ち込んだ中国を中心にアジア向けの輸出が低迷している。なお、中国向けの輸出は3、4月の2ヵ月で▲15%程度落ち込んだ後、5月に前月比1.4%と下げ止まり、ロックダウンが解除された6月は同5.3%と持ち直している。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2022年07月29日「Weekly エコノミスト・レター」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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