2022年06月03日

ブラジルGDP(2022年1-3月期)-前期比伸び率での加速が続く

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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1.結果の概要:3四半期連続でのプラス成長

6月2日、ブラジル地理統計院(IBGE)は国内総生産(GDP)を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【実質GDP成長率(2022年1-3月期)】
前年同期比伸び率(未季節調整値)は1.7%、市場予想1(2.1%)を下回ったが、前期(1.6%)からは上昇した(図表1・2)。
前期比伸び率(季節調整値)は1.0%、予想(1.2%)を下回ったが、前期(0.7%)から加速した。

(図表1)ブラジルの実質GDP成長率(需要項目別寄与度)/(図表2)ブラジルの実質GDP成長率(産業別寄与度)
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:サービス業が成長をけん引

22年1-3月期の実質GDP伸び率は前期比1.0%(季節調整値、年率換算4.0%)となった。改定された過去データでは、4-6月期(前期比▲0.2%)にマイナス成長となった後、3四半期でのプラス成長となっており、伸び率も加速が続いている(21年7-9月期:0.1%、21年10-12月期:0.7%、22年1-3月期:1.0%)。コロナ禍前(19年10-12月期)との対比では、21年1-3月期にわずかにコロナ禍前の水準を回復(+0.1%)したが、4-6月期と7-9月期はコロナ禍前の水準を下回っていた。その後、10-12月期は再びコロナ禍前の水準を回復(+0.6%)し、22年1-3月期はコロナ禍前を+1.6%上回る水準となっている(図表4・5)。

成長率(前期比)を需要項目別に見ると、個人消費が0.7%(前期:0.7%)、政府消費が0.1%(前期:0.9%)、投資▲3.5%(前期:0.8%)、輸出が5.0%(前期:▲0.2%)、輸入が▲4.6%(前期:0.1%)となった。内需のうち消費は前期並みの伸び率を維持、投資についてはマイナス成長となる一方、外需が好調だったことから全体の成長率を押し上げられている。

コロナ禍前との対比では、GDPが1.6%、個人消費が▲0.7%、政府消費が▲0.6%、投資が12.7%、輸出が5.6%、輸入が▲4.9%だった(図表4)。
(図表3)業種別のGDP伸び率
(図表4)ブラジルの実質GDPの動向(需要項目別)/(図表5)ブラジルの実質GDPの動向(供給項目別)
産業分類別に実質GDPの伸び率を見ると(図表3・5)、前期比は大分類では「第一次産業」が▲0.9(前期:6.0%)、「第二次産業」が0.1%(前期:▲1.2%)、「第三次産業」が1.0%(前期:0.6%)となった。第一次産業はマイナス成長となり、第二次産業も伸び悩む中、コロナ禍からの回復が進んだことで、第三次産業が成長をけん引した形となる。第三次産業では特に運輸関係の伸び率(前期比2.1%)が目立った。一方、第一次産業は天候不順を理由に大豆の生産量見通しが不調であったことなどが響いた。また、第二次産業は供給制約などの影響が長期化しているため伸び悩んだと見られる。
(図表6)ブラジルの名目および実質成長率 最後に、22年1-3月期の名目成長率は前年同期比8.9%(前期:12.2%)となった(図表6)、名目と実質成長率の差(デフレータに相当)は7.2%と引き続き高いものの、20年10-12月以来の1桁台まで低下している。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2022年06月03日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

     ・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
      アドバイザー(2024年4月~)

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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