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中国経済の見通し-岐路に立つコロナ政策、22年は4.2%と予想も、下方リスクが燻ぶり、ポジティブ・サプライズもあり得て、目が離せない
三尾 幸吉郎
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1. 岐路に立つコロナ政策
2. 中国経済の現状
他方、インフレの状況を見ると、1-4月期の工業生産者出荷価格(PPI)が前年同期比8.5%上昇したものの、消費者物価(CPI)は同1.4%上昇と低位に留まった(図表-7)。但し、今後のCPIは上昇傾向を強める可能性が高い。ウクライナ情勢の緊迫化を背景に、食糧・エネルギーに上昇圧力が掛かるのに加えて、これまでCPI上昇を抑制する要因だった豚肉が下げ止まりつつあるからだ。
1 景気インデックスとは、鉱工業生産、サービス業生産、建築業PMIを合成加工して、毎月の実質成長率を筆者が推計したもの
3. 需要動向
投資もほぼ同様に3月以降に急ブレーキが掛かった。投資の3大セクターの推移を見ると(図表-9)、不動産開発投資は1-2月期に前年比3.7%増とプラスに転じたものの、3月以降は再び水面下に沈んでしまった。インフラ投資は1-3月期に前年比8.5%増と持ち直したものの、4月には同0.5%増(推定2)とブレーキが掛かった。製造業は1-2月期に前年比20.9%増と絶好調だったが、3月には同5.0%増(推定)、4月には同2.0%増(推定)と減速している。
2 中国では、統計方法の改定時に新基準で計測した過去の数値を公表しない場合が多く、また1月からの年度累計で公表される統計も多い。本稿では、四半期毎の伸びを見るためなどの目的で、中国国家統計局などが公表したデータを元に推定した数値を掲載している。またその場合には“(推定)”と付して公表された数値と区別している。
4. 財政金融政策
5. 中国経済の見通し
以上を踏まえて、22年の経済成長率は実質で前年比4.2%増、23年は同6.6%増と予想している(図表-16)。COVID-19に関しては上海での爆発的感染が収束したあとも、全国各地で散発的な感染拡大が起きるものの、カギを握る上海のような中核都市での都市封鎖(ロックダウン)は回避できると想定した上で、現行のダイナミック・ゼロコロナ政策と全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で打ち出した財政金融政策の基本方針を堅持し、景気テコ入れ策は地方特別債の前倒し発行や住宅バブルを再膨張させない程度の利下げに留めると前提している。
22年1-3月期の実質成長率は前年比4.8%増と持ち直したものの、4月には上海ロックダウンで失速し景気インデックスは同2.1%減に落ち込んだ(3ページの図表-6)。5月には「復工復産(職場復帰・生産再開)」の動きが始まり、6月にはさらに正常化が進む見込みであることから、実質成長率はそれぞれ同2%前後、同6%前後と緩やかに持ち直し、4-6月期の実質成長率は同2%前後と見ている。その後も全国各地で散発的に感染拡大が起きるものの、カギを握る上海のような中核都市でのロックダウンは回避できると前提していることから、「復工復産」の本格化で製造業が回復し、それに「リベンジ消費」が加わってサービス産業も持ち直し、7-9月期は同4.3%増、10-12月期は同5.9%増と予想している(図表-17)。そして、23年以降は5%台の巡行速度(=大規模な政策支援なしで無理なく成長できる水準)での経済成長に戻ると予想する。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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(2022年05月27日「Weekly エコノミスト・レター」)
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