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世界各国の市場動向・金融政策(2022年3月)-急変動から安定化、資源国は株・通貨高
経済研究部 主任研究員 高山 武士
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1.概要:ロシアのウクライナ侵攻による急変動からはやや安定化、資源国には追い風も
1 本稿では金融政策はG20について確認する。また、株価・為替についてはMSCI ACWIの指数を構成する47か国・地域について確認する。中国と記載した場合は中国本土を指し香港は除く。また、香港等の地域も含めて「国」と記載する。本文中の先進市場と新興市場の区分についてはMSCIの分類に基づく。
2.ロシアの金融市場と商品価格
次にロシアが主要な供給源となっている商品の動向を追うと、金属(アルミ、ニッケル)、農作物(小麦、トウモロコシ)、エネルギー(原油、天然ガス)ともにロシアのウクライナ侵攻直後の急騰からは落ち着いている(図表6-8)。価格水準はウクライナ侵攻前よりも高く、供給への懸念は根強いと見られるが、西側諸国の制裁やロシアの対抗措置が講じられるなかで、ロシア産資源の供給を急激に縮小させるような措置は双方とも避けており、供給制約に対する過度に悲観的な見方が後退したものと思われる。
2 ロシアのウクライナ侵攻と経済・金融制裁を受けて、ロシアはMSCI ACWIから除外されたが、世界の金融市場に大きな影響を及ぼしているため、本節で概観する。
3 ロシア中央銀行の対応については、高山武士(2022)「経済・金融制裁とロシア中央銀行の対応」基礎研レター2022-03-30を参照。
4 例えば、日本経済新聞「格付け大手、ロシア向け信用格付けから撤退」2022年3月25日(22年3月31日アクセス)を参照。
3.MSCIの動き
それ以外の国では、サウジアラビア、ブラジル、ハンガリー、アルゼンチン、メキシコ、南アフリカ、チェコで政策金利の引き上げが決定された。
ハンガリーは10会合連続9、ブラジルは9会合連続、メキシコとチェコは7会合連続、南アフリカは3会合連続の利上げで、高インフレに対する中央銀行の引き締め姿勢が継続している。また、アルゼンチンも3か月連続で利上げをしており、債務再編交渉相手であるIMFの要請(高インフレへの対応)に応じる引き締めが続いている10。サウジアラビアでは通貨がドルペッグされているため、FRBの利上げに応じる形での政策金利引き上げとなった。
なお、西側諸国から経済・金融政策を受けて2月末に臨時の会合で政策金利を20%まで引き上げていたロシアは、3月の定例の会合では政策金利を据え置いている。また、エルドアン大統領の意向に沿って昨年利下げを続けてきたトルコは今年に入って3会合連続での政策金利据え置きとなった。
9 このほか、3月8日の通常の会合においてコリドー幅の拡大が決定されている。
10 3月4日にはブラジルとIMFで債務再編が合意され、17日にはブラジル上院で可決された。また25日にIMFで承認されたことが公表された。IMF, IMF Executive Board Approves 30-month US$44 billion Extended Arrangement for Argentina and Concludes 2022 Article IV Consultation, 25 March 2022(22年3月31日アクセス)。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2022年04月01日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1818
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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