- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 中国経済 >
- 中国経済:景気指標の総点検(2022年春季号)-1-3月期成長率は前四半期(4.0%)をやや上回る
中国経済:景気指標の総点検(2022年春季号)-1-3月期成長率は前四半期(4.0%)をやや上回る

三尾 幸吉郎
このレポートの関連カテゴリ
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1. 中国経済の概況

また、中国には20年春以来となる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の“第2波”が襲来している(図表-3)。習近平主席が「新型コロナによる経済・社会発展への影響を最大限減らさなければならない」と述べるなど、これまでの防疫管理の在り方を、オミクロン株の特性を踏まえて微調整しているようで、都市封鎖(ロックダウン)や工場の操業停止期間も短縮されている。但し、重症者・死亡者が増えれば再び厳しいゼロコロナ政策に戻す可能性も残るだけに、予断を許さない。
2. 供給面の3指標
1 2021年12月に開催された中央経済工作会議では、国内経済は需要の縮小、供給の打撃、弱気の予想という三重の圧力に直面しているとして危機感を示した
3. 需要面の3指標
一方、輸出(ドルベース)の状況を見ると(図表-11)、21年1-2月期には反動増もあって前年同期比60.4%増と極めて高い伸びを示し、その後も2割程度の伸びを維持している。但し、価格転嫁の影響を除いた数量ベースを見ると、21年7月以降は1割前後まで伸びが鈍化してきている。
2 中国では、統計方法の改定時に新基準で計測した過去の数値を公表しない場合が多く、また1月からの年度累計で公表される統計も多い。本稿では、四半期毎の伸びを見るためなどの目的で、中国国家統計局などが公表したデータを元に推定した数値を掲載している。またその場合には“(推定)”と付して公表された数値と区別している。
需要面の指標は総じて冴えない。消費の代表指標である小売売上高は、1月には一旦“〇”となったものの2月には再び“×”に戻ってしまった。投資の代表指標である固定資産投資も、1月には“〇”となったものの2月には“×”に戻ってしまった。また、輸出も4ヵ月連続で“×”と減速傾向が鮮明となっている。次に供給面の指標を見ると、製造業PMIが3ヵ月連続で“〇”となったものの、鉱工業生産が2ヵ月連続の“×”で、非製造業PMIも3ヵ月連続で“×”であり、生産活動が上向く勢いはまだ弱く、明確なトレンドは確認できない。
最後にその他の景気指標の推移を見ると、電力消費量は21年4月以降“×” が続いたあと22年2月には11ヵ月ぶりに“〇”に転じた。21年夏に各地の工場が操業停止に追い込まれた電力供給不安3は解消したと言えるものの、上向きトレンドに入ったと見るのは時期尚早だろう(図表-13)。また、道路貨物輸送量は21年4月以降“×” が続いたあと22年1月には10ヵ月ぶりに“〇”に転じ2月も“〇”だった。但し、ヒトの動きを示す旅客輸送数の戻りは鈍く、コロナ前(19年)の半分以下のレベルで低迷している(図表-14)。他方、通貨供給量(M2)は中国政府(含む中国人民銀行)が金融を引き締め気味にしていたため21年9月までは“×”が目立っていたが、金融を緩和気味に調整し始めた10月以降は5ヵ月連続で“〇”となっている。21年12月と22年1月にはローンプライムレート(贷款市场报价利率、1年)を2ヵ月連続で引き下げるなど、金融緩和で景気を支えている(図表-15)。なお、工業生産者出荷価格(PPI)は一進一退となっている。
3 中国における電力の供給不安に関しては、「中国経済の現状と今後の注目点-電力不足、不動産規制、コロナの3点に注目!」Weekly エコノミスト・レター 2021-10-29の4ページを参照ください
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2022年03月25日「Weekly エコノミスト・レター」)
このレポートの関連カテゴリ
三尾 幸吉郎
三尾 幸吉郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/04/15 | 図表でみる世界の民主主義-日本の民主主義指数は上昇も、世界平均は低下。世界ではいったい何が起きているのか? | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2024/12/16 | 図表でみる世界のGDP-日本が置かれている現状と世界のトレンド | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2024/07/30 | 図表でみる世界の人口ピラミッド | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2024/04/05 | 不動産バブルの日中比較と中国経済の展望 | 三尾 幸吉郎 | 基礎研マンスリー |
新着記事
-
2025年05月01日
日本を米国車が走りまわる日-掃除機は「でかくてがさつ」から脱却- -
2025年05月01日
米個人所得・消費支出(25年3月)-個人消費(前月比)が上振れする一方、PCE価格指数(前月比)は総合、コアともに横這い -
2025年05月01日
米GDP(25年1-3月期)-前期比年率▲0.3%と22年1-3月期以来のマイナス、市場予想も下回る -
2025年05月01日
ユーロ圏GDP(2025年1-3月期)-前期比0.4%に加速 -
2025年04月30日
2025年1-3月期の実質GDP~前期比▲0.2%(年率▲0.9%)を予測~
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【中国経済:景気指標の総点検(2022年春季号)-1-3月期成長率は前四半期(4.0%)をやや上回る】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
中国経済:景気指標の総点検(2022年春季号)-1-3月期成長率は前四半期(4.0%)をやや上回るのレポート Topへ