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中国経済:景気指標の総点検(2022年春季号)-1-3月期成長率は前四半期(4.0%)をやや上回る
三尾 幸吉郎
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- 中国経済はコロナショックのあと世界に先駆けてV字回復したものの、その後は停滞感を強めている。消費者物価(CPI)は今のところ落ち着いているが、ウクライナ情勢の緊迫化によって世界的に食糧・エネルギーの需給がひっ迫する恐れもあるので要注意だ。また、中国には20年春以来となる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の“第2波”が襲来している。
- 現在の景気の方向性を表す評価点を見ると(下表)、21年6~8月には3ヵ月連続で景気が急減速していることを示す1点(10点満点)に留まったが、その後は景気が横ばい圏にあることを示す5点前後で推移している。需要面の指標は総じて冴えない。小売売上高・固定資産投資は1月には“〇”となったものの2月には“×”に戻り、輸出も4ヵ月連続で“×”である。供給面を見ても、製造業PMIは3ヵ月連続の“〇”だが、鉱工業生産は2ヵ月連続の“×”、非製造業PMIも3ヵ月連続の“×”で、生産活動が上向く勢いは弱い。その他の景気指標では、電力消費量が11ヵ月ぶりに“〇”に転じ、道路貨物輸送量も2ヵ月連続で“〇”となるなど底打ちの兆しが見られものの、ヒトの動きを示す旅客輸送量の戻りは鈍い。他方、通貨供給量(M2)は5ヵ月連続の“〇”で、金融緩和が景気を支えている。
- なお、景気インデックス(鉱工業生産、サービス業生産、建築業PMIを合成加工して毎月の実質成長率を推計したもの)は、22年1月が前年同月比4.4%増、2月が同4.9%増である。3月にはCOVID-19が再拡大しウクライナ情勢が深刻化したため伸びが鈍化しそうだが、1~2月の貯金があるので、1-3月期成長率は前四半期(4.0%)をやや上回ると予想する。なお、前期比では前四半期(年率6.6%増程度)を大きく下回り年率3%前後と予想している。
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