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- 英国雇用関連統計(21年12月)-11月の休業者がわずかに増加
2022年01月19日
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1.結果の概要:失業率の低下が続く
1月18日、英国国家統計局(ONS)は雇用関連統計を公表し、結果は以下の通りとなった。
【12月】
・失業保険申請件数1は前月(192.44万件)から4.33万件減の188.11万件となった(図表1)。
・申請件数の雇用者数に対する割合は4.7%となり、前月(同4.8%)から低下した。
・給与所得者数2は前月(2928.4万人)から18.4万人増の2946.8万人となった。
増減数は前月(+16.2万人)から増加、市場予想3(+13.0万人)を上回った。
【11月(9-11月の3か月平均)】
・失業率は4.1%で前月(4.2%)から低下、市場予想(4.1%)を下回った(図表1)。
・就業者は3247.5万人で3か月前の3241.6万人から6.0万人の増加となった。
増減数は前月(+14.9万人)から減少、市場予想(+12.5万人)を下回った。
・週平均賃金は、前年同期比4.2%で前月(4.9%)から減速、市場予想(4.2%)と一致した(図表2)。
1 求職者手当(JSA:Jobseekerʼs Allowance)、国民保険給付(National Insurance credits)を受けている者に加えて、主に失業理由でユニバーサルクレジット(UC)を受給している者の推計数の合算。なお、UCはJSAより幅広い求職手当てであり、失業者数を示す統計としては過大評価している可能性がある。このため、ONSは失業保険等申請件数について公式統計とはしておらず実験統計という位置付けで公表している。ただし、公表日の前月のデータを入手できるため、速報性の高さという利点がある。
2 歳入関税庁(HRMC)の源泉徴収情報を利用した統計。直近データは利用可能な情報の85%ほどを集計して算出。
3 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
2.結果の詳細:11月の就業者数や労働時間は横ばい圏での推移、休業者はわずかに増加
次に11月までのデータ(労働力調査)を確認すると、9-11月期の失業率は4.1%まで低下した(前掲図表1)。前月比で見ると、失業者が減少する一方で、就業者も減少し非労働力が増加している。その結果、労働参加率も63.2%と前月から0.1%ポイント低下している。コロナ禍前(19年12月-20年2月)と比較すると、失業者は1.8万人多い状況でほぼコロナ禍前の水準になる一方で、就業者は59.8万人少なく、非労働力人口が70.0万人多い。
労働時間は31.4時間(前年同期差+1.4時間)、フルタイム労働者で35.8時間(同+1.1時間)となり、横ばい圏での推移が続いている(前掲図表2)。就業者や労働時間については、目立った回復が見られない状況と言える。
9-11月の平均賃金は前年同期比4.2%(実質は0.4%)とベース効果の剥落に伴い減速傾向にある。コロナ禍の影響を除くために2年前比で見ると、インフレ率の高さを反映して名目値が加速、実質値が減速傾向にあり乖離が広がっている(図表5)。
労働時間は31.4時間(前年同期差+1.4時間)、フルタイム労働者で35.8時間(同+1.1時間)となり、横ばい圏での推移が続いている(前掲図表2)。就業者や労働時間については、目立った回復が見られない状況と言える。
9-11月の平均賃金は前年同期比4.2%(実質は0.4%)とベース効果の剥落に伴い減速傾向にある。コロナ禍の影響を除くために2年前比で見ると、インフレ率の高さを反映して名目値が加速、実質値が減速傾向にあり乖離が広がっている(図表5)。
最後に週次データを確認すると(図表6)、11月の休業者がやや増加傾向にある。10月の休業者は横ばいだったが、政府の雇用維持政策が9月末で終了しているため、今後の動向が注目される。
4 単月データは未季節調整値であり、例年10月は求人が多い季節性がある点に留意。なお、3か月平均のデータは季節調整値。
4 単月データは未季節調整値であり、例年10月は求人が多い季節性がある点に留意。なお、3か月平均のデータは季節調整値。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2022年01月19日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1818
経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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