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- コロナ禍でテレワークが増えたのはどんな人か? (4) -属性別のテレワーク頻度の変化:男女/年代/年収別
2021年10月18日
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1――はじめに
コロナ禍でテレワークの頻度が増えたのはどのような人なのか。本稿では、ニッセイ基礎研究所が実施した独自のWEBアンケート調査1を用いて、5回にわたる基礎研レターで、2020年2月から2021年2月の間のテレワークの頻度の変化を、様々な属性別に確認した結果を紹介するうちの4回目として、男女、年代、年収別のテレワーク頻度の変化について確認した結果を紹介する。
1 「2021年被用者の働き方と健康に関する調査」、2021年2月-3月に、18歳-64歳の被用者を対象として行われたWEBアンケート調査(n=5,808)。調査方法や対象の詳細は、岩﨑敬子, 2021年10月13日, 「コロナ禍でテレワークが増えたのはどんな人か? (1) 属性別のテレワーク頻度の変化:企業の規模/産業分類別」基礎研レター (https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=69031?site=nli) を参照。
1 「2021年被用者の働き方と健康に関する調査」、2021年2月-3月に、18歳-64歳の被用者を対象として行われたWEBアンケート調査(n=5,808)。調査方法や対象の詳細は、岩﨑敬子, 2021年10月13日, 「コロナ禍でテレワークが増えたのはどんな人か? (1) 属性別のテレワーク頻度の変化:企業の規模/産業分類別」基礎研レター (https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=69031?site=nli) を参照。
2――男女別のコロナ禍のテレワーク頻度の変化
3――年代別のコロナ禍のテレワーク頻度の変化
4――年収別のコロナ禍のテレワーク頻度の変化
次に、年収別のコロナ禍のテレワークの頻度の分布の変化を示したのが、図3である。2021年2月時点で、月1回以上のテレワークを行っている人の割合は、年収1000万円以上の人の間で最も大きく、約69%であった。毎日テレワークをしている人の割合も、年収1000万円以上の人の間で最も大きく、約10%だった。2021年2月時点で、月1回以上のテレワークを行っている人の割合が、年収1000万円以上の人の次に大きいのは、年収700~1000万円未満の人で、約52%だった。それに続いて、3番目に大きいのは、300~700万円未満で約28%であった。そして、2021年2月時点で、月1回以上のテレワークを行っている人の割合が最も小さいのは、年収300万円未満の人で約16%であった。つまり、2021年2月時点で、月1回以上のテレワークを行っている人の割合は、年収が高い人ほど大きい傾向がみられた。2020年2月時点で、月1回以上のテレワークを行っている人の割合についても、年収が高い人ほど大きい傾向がみられるが、コロナ禍では、年収の高い人ほどテレワークを行う人の割合が大きい傾向が、さらに強まったことが示唆される。
5――おわりに
本稿では、ニッセイ基礎研究所の独自調査から、男女、年代、年収別に、2020年2月から2021年2月の間の、テレワークの拡大状況の違いを確認した。男女別の比較では、2021年2月時点でテレワークを月に1回以上行う人の割合が男性で約32%、女性で約27%と、男性の方が少しだけ大きいことが確認された。回答者の中で、男性の方が正社員の雇用形態で勤務する人の割合が大きいことや、大企業に勤める人の割合が大きいことが影響している可能性が考えられる。
また、年代別の比較では、年代が低いほど、テレワークを行う人の割合が大きい傾向が確認された。この要因については今後検証が必要だが、デジタルネイティブ世代の多い若者ほど、テレワークの利用に積極的である可能性も考えられるだろう2。さらに、年収別の比較では、年収が高い人ほど、テレワークを行う人の割合が大きい傾向が見られた。2021年2月時点で、年収が1000万円以上の人の間では、約69%の人が月1回以上のテレワークを行っているのに対し、年収が300万円未満の人の割合は、約16%で、年収の大きさによって、テレワークの拡大状況の差はとても大きいことが分かる。この要因についても今後検証が必要だが、年収とテレワーク実施の両方と関係する、職種や企業規模の他、テレワークを行うための自宅設備等の環境などが影響している可能性が考えられるかもしれない。
2 久我尚子, 2021年1月19日「年代別に見たコロナ禍の行動・意識の特徴~働き方編若いほどテレワークに積極的な一方、現場業務の負担も」基礎研レター (https://www.nli-research.co.jp/files/topics/66656_ext_18_0.pdf?site=nli)
また、年代別の比較では、年代が低いほど、テレワークを行う人の割合が大きい傾向が確認された。この要因については今後検証が必要だが、デジタルネイティブ世代の多い若者ほど、テレワークの利用に積極的である可能性も考えられるだろう2。さらに、年収別の比較では、年収が高い人ほど、テレワークを行う人の割合が大きい傾向が見られた。2021年2月時点で、年収が1000万円以上の人の間では、約69%の人が月1回以上のテレワークを行っているのに対し、年収が300万円未満の人の割合は、約16%で、年収の大きさによって、テレワークの拡大状況の差はとても大きいことが分かる。この要因についても今後検証が必要だが、年収とテレワーク実施の両方と関係する、職種や企業規模の他、テレワークを行うための自宅設備等の環境などが影響している可能性が考えられるかもしれない。
2 久我尚子, 2021年1月19日「年代別に見たコロナ禍の行動・意識の特徴~働き方編若いほどテレワークに積極的な一方、現場業務の負担も」基礎研レター (https://www.nli-research.co.jp/files/topics/66656_ext_18_0.pdf?site=nli)
(2021年10月18日「基礎研レター」)
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経歴
- 【職歴】
2010年 株式会社 三井住友銀行
2015年 独立行政法人日本学術振興会 特別研究員
2018年 ニッセイ基礎研究所 研究員
2021年7月より現職
【加入団体等】
日本経済学会、行動経済学会、人間の安全保障学会
博士(国際貢献、東京大学)
2022年 東北学院大学非常勤講師
2020年 茨城大学非常勤講師
岩﨑 敬子のレポート
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