2021年10月08日

景気ウォッチャー調査(21年9月)~緊急事態宣言の解除決定で、景況感が大幅改善

経済研究部 准主任研究員   山下 大輔

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1.感染者数減少と緊急事態宣言などの解除決定で、現状、先行きともに大幅上昇

現状判断DI・先行き判断DIの推移 10月8日に内閣府が公表した2021年9月の景気ウォッチャー調査(調査期間:9月25日から月末)によると、3か月前との比較による景気の現状判断DI(季節調整値)は42.1と前月から7.4ポイント上昇した。また、2~3か月先の景気の先行き判断DI(季節調整値)は56.6と前月から12.9ポイント上昇した。

地域別でみても、現状判断DI(季節調整値)、先行き判断DI(季節調整値)ともに、全国12地域中12地域で上昇した。両DIともに上昇幅が最も大きかったのは沖縄であった。沖縄県は5月23日以降、全国最長の4か月にわたり緊急事態宣言が継続していたことから、緊急事態宣言解除後への期待の大きさが反映されたのだろう。
今回の結果からは、調査期間中に、感染者減少とそれに伴う緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が9月30日で解除されることが決定されたことにより、景況感が大幅に改善したことが示された。感染者数の増加や医療のひっ迫などにより、景況感が大きく落ち込んだ先月から反転したわけだが、現在の景気の水準自体に対する判断を示す景気の現状水準判断DIは依然として低い状態が続いている。感染再拡大への懸念は依然強いものの、ワクチンが普及した状況で、今後も感染者数の増加がみられない状況が続けば、長期間にわたり抑制されてきた飲食、サービスなどがけん引する形で、景況感は更に改善すると見込まれる。
地域別現状判断DI・先行き判断DIの前月差/現状判断DIと現状水準判断DIの比較

2.景気の現状判断DI(季節調整値):飲食を筆頭に、全ての内訳で大幅改善

現状判断DI・回答者構成比 現状判断DI(季節調整値)は、感染者数の急増などにより、8月に2か月ぶりに大幅に悪化したが、今月は、逆に感染者数が急激に減少したことを受け、大幅な改善となった。
現状判断DIの内訳の推移 景気の現状判断DIの回答者構成比をみても、改善又は現状維持と回答した割合が増加し、悪化と回答した割合が減少した。

現状判断DI(季節調整値)の内訳をみると、全ての内訳で大幅な上昇となった。家計動向関連は40.9(前月差9.6ポイント)、企業動向関連は42.6(同2.0ポイント)、雇用関連は49.3(同4.5ポイント)であった。
家計動向関連のうち、特に大幅上昇となったのは、前月に大きく落ち込んでいた飲食関連やサービス関連であった。また、前月に落ち込んだ企業動向関連の内訳の製造業や雇用関連も上昇に転じた。ただし、回答者のコメントからは、半導体不足への懸念を指摘するものが多々見られた。
現状判断DI(家計動向関連)の内訳の推移/現状判断DI(企業動向関連)の内訳の推移
<飲食関連の回答者の主なコメント>
  • 新型コロナウイルスのワクチン接種率が上がるにつれ、客の動向に影響が出ているようである。繁華街の店舗においては来客数が増えており、売上も伸びてきている。ただし、今後についてはまだまだ見えない部分もある。前年も、秋に感染者数が減ったものの、1月以降にまた増えたので、まだ安定はしない(東京都)(南関東・一般レストラン(経営者))
  • 相変わらず新型コロナウイルスに対する警戒心は高い。仕事途中の食事も含めランチタイムの来店はあるが、夜はゴーストタウン並に街が静まり返っており、飲食店はまだまだ厳しい状況である(東北・一般レストラン(経営者))

<半導体不足に関する回答者の主なコメント>
  • 従来からの半導体不足に、ベトナムでのロックダウンにより海外からの調達部品が欠品し、完全に自動車生産が停止してしまっている(北関東・輸送用機械器具製造業(経営者))
  • 当地域の自動車メーカーは、相変わらず半導体不足や新型コロナウイルス禍による労働生産性の落ち込み等により、生産体制は辛い状況となっている。これは当地域だけの話でなく、国内全体の自動車メーカーにもいえることではある(北関東・乗用車販売店(経営者))

3.景気の先行き判断DI(季節調整値):全ての内訳で大幅上昇

先行き判断DI・回答者構成比 2~3か月先の景気の先行き判断DI(季節調整値)は、7月以降は感染再拡大による先行きへの警戒感拡大から2か月連続で低下していたが、調査期間中の感染者数の減少や緊急事態宣言の解除決定を受け、今後への期待の高まりから大幅な上昇に転じた。

景気の先行き判断DIの回答者構成比でみても、改善と回答した割合が上昇する一方、現状維持、悪化と回答した割合は減少しており、景況感の改善は顕著となっている。
先行き判断DI(季節調整値)の内訳をみると、家計動向関連は57.1(前月差13.8ポイント)、企業動向関連は54.0(同8.5ポイント)、雇用関連は59.6(同17.0ポイント)であり、全てで50を超える大幅な上昇となった。前月に大きく落ち込んだ雇用が大幅に反転したほか、家計動向関連の内訳では、サービス、飲食が特に大きな上昇となった。ただし、回答者のコメントには、「第6波」への懸念や、「Go To トラベル」などの政策対応への期待に言及するものも多々見られた。
先行き判断DIの内訳の推移/先行き判断DI(家計動向関連)の内訳の推移
<雇用関連の回答者の主なコメント>
  • 緊急事態宣言の解除後は、集客を見込んだ飲食店などの改修工事が予想され、それに伴って求人数が増える可能性がある(近畿・民間職業紹介機関(職員))
  • ボーナス支給後の転職や4月以降の転職を目指して、活動を開始する人が増加する見込みである(東海・民間職業紹介機関(営業担当))

<飲食関連の回答者の主なコメント>
  • 新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、緊急事態宣言解除となれば、人は少しずつ動く。常連客に話を聞くと、外出を相当我慢しているようである。また、ワクチンパスポート等の導入で、忘年会などもできるようになることを期待したい(北関東・一般レストラン(経営者))
  • 新型コロナウイルスの新規感染者数がまた増える恐れはあるが、飲食店が若干でも動き出すと、少しずつ景気が回復し、経済が動く大きな要因になることは間違いない(近畿・一般レストラン(経営者))

<サービス関連の回答者の主なコメント>
  • 緊急事態宣言の延長が続くという状況からは好転する。新型コロナウイルスの感染予防策を講じながら、秋の観光シーズンでの来客数の回復を期待している(近畿・都市型ホテル(客室担当))
  • 9月末で緊急事態宣言が解除される。Go To 2.0への期待もある(東京都)(南関東・旅行代理店(従業員))
  • 10月からはアルコールも解禁になって、夜の人出が増えてくると思うので、また売上は上がってくると期待している(甲信越・タクシー運転手)
  • 緊急事態宣言の解除に伴い、全国の臨時場外車券売場での発売が可能となることから、売上増加が見込まれる(北陸・競輪場(職員))

<第6波への懸念に関連した回答者のコメント>
  • 新型コロナウイルスの第6波を念頭に置いている業界が多いとみられることから、冬季の感染状況がはっきりするまで景気は変わらない(北海道・学校[大学](就職担当))
  • ワクチン接種、緊急事態宣言の解除、新規感染者数の減少と条件は好転してきたので、これからの行楽シーズンに期待したいところである。第6波の懸念もあり大きく好転とはいかないが、今よりは良くなるとみている(東北・観光型旅館(経営者))
  • 新型コロナウイルス感染者数の減少に、やや明るさが見え始めているものの、次の感染拡大第6波を懸念して、アルバイト、パート社員採用にシフトする企業が顕著になってきている(甲信越・民間職業紹介機関(経営者))
  • ワクチン接種が進むことで、新型コロナウイルスの新規感染者数や重症者数が減少すると思うが、季節が変わり空気が乾燥する時期となるため、先行きは不透明である(四国・一般レストラン(経営者))
 
 

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経済研究部   准主任研究員

山下 大輔 (やました だいすけ)

研究・専門分野
日本経済

(2021年10月08日「経済・金融フラッシュ」)

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